市民後見人

さようなら令和2年度

年度が替わります。令和2年度は、何が何やら分からないまま過ぎていった日々だった気がします。

先般、定時株主総会の議事録などを届けてくださった、コンサルタント会社の法務ご担当によれば、コンサルタントの形も変化してきたそうで、それはコロナの流行が収まったとしても継続して定着するのだろうということでした。例えば、講習会を集合ではなくリモートで開催することで、遠方からでも負担少なく参加できるようになり、顧客から喜ばれ参加者も増えたとか。

今夕、三士会(リーガルサポート、弁護士会、社会福祉士会)の打ち合わせがあり、大阪府下の市民後見人養成事業について意見の擦り合わせをしました。近年、市民後見人を志す方が減少傾向にあることへの対策が必要だという問題意識を共有したのですが、その解決の手段の一つがリモートによる養成講座かも知れません。講座を受けたくても時間の都合がつかない人が、自宅でwebでなら受けられる、っていうことは結構あるかも。怪我の功名ですかね。

転んでもただでは起きない、そんな令和3年度にしようと決意しました!

報酬を前提としない

 2月は「逃げる」とは本当です。もう半分が過ぎてしまいました。年明けの「心機一転」も正直どこへやら、相変わらず、課題に追い立てられる毎日です・・・

 大阪の市民後見人は、「報酬を前提としない」ことをルールにして、各自治体が養成と活動支援をしています。皆さん、「週に一度程度ご本人を訪問する」などのルールと共に、「報酬を前提としない=報酬付与申立をしない」ことを十分に理解した上で、養成講座を受講し、その後の「市民後見人バンク登録」もされています。

 もちろん、後見活動は実際にやってみないと、どれくらいの負担感があるかは分からないですし、やってみて「これは報酬なしはきついなぁ」と感じる場合もあるかも知れません。が、多くの方が、実際に経験した後もバンク登録を続けられ、大阪市内では、2件目を受任している市民後見人もいるくらいです。

 最近、「市民後見活動が社会貢献だとしても、責任感をもって事務遂行するためには、報酬を受けるべき」という意見に、複数接しました。いずれも、ご自身が後見事務を遂行しており、また日本の成年後見制度のあり方について日頃から考えている立場の方です。

 わたしの意見は、大阪の市民後見人の皆さんが、どれだけ責任感をもって後見事務を行なっているか、実際に会って話を聞いてから言ってください!というものです。自己の行いが他者から認められることが、モチベーションの維持には重要であるということには賛同しますが、「認められる」とはお金を貰うことだけではないはずで、実際、大阪市の市民後見の事業では、どのように市民後見人の皆さんに報いるのかが考え続けられています。

 ただ、大阪の市民後見事業も、新たな養成講座の受講者が少なくなってきたなど、曲がり角を迎えているかも知れません。それには、事業開始当初から理念をリードしてきた岩間伸之教授が、2年前に急逝されたことも影響しているように思っています。岩間先生の話を聴いて、より良い社会のために微力を生かせれば、と思った人は多いはずです。

 ともかく、市民後見人の報酬の問題は、当事者である市民後見人の方々の議論が先行すべきでないかと思う次第です。全国各地、市民後見事業はいくつかのパターンに収斂されてきました。そろそろ、皆さんが集まって直接意見交換をする場が持たれればと期待しています。

これぞ大阪の底力

 「これぞ大阪の底力、地域の権利擁護をすすめる市民後見人の活動」というシンポジウムが3月15日に開催されます。

 http://www.wel-osaka.jp/new/pdf/52d9e829b75c0.pdf

 わたしもちょこっと登壇しますが、与えられた時間は僅かで、市民後見人のお二人が主役です。うっかり熱を入れて話したりすると疎まれること間違いありません(^_^;)

 市民後見人が当日どのような活動報告をされるのか、一部予めお聞きしています。あまりの真摯な活動に、本当に胸を打たれました。

 もちろんネタバレなどはいたしませんが、正真正銘、聞き応えのある内容です。まだ申し込みは間に合うようですから、関心のある方はぜひご参加下さい。

信じれんタロウ!

 ちょうど一週間前、道後温泉に泊まっていたのですが、あまりの陽気にコートが邪魔で、道後温泉本館の二階の休憩場も昼間は窓を開け放つほどでした。松山は初めて訪れたのですが、さすが瀬戸内の温暖な気候やなぁと思った次第です。

 ところが、さっきのニュースでは、松山市の路面電車が雪の舞う中を走っていました。ビックリ!です。

 そりゃぁ、先週の暖かさのまま春にまっしぐらとは誰も思っちゃいないと思いますが、それにしてもこの落差はどうしたことでしょう!こんな夜には温泉が身近にあるのは幸せなことでしょうね。羨ましいです。

 さて、平日に何しに松山市へ出かけたかと言いますと、市民の方々の前で「成年後見と市民後見~地域で実践する権利擁護~」というお話をしたのです。持ち時間は二時間。駆け足でなく結構ゆったりとお話しすることができたと思います。パワーポイントを用意していたので、皆さんそっちを見てくれることも、気が楽な要因です。さらに、わたしは話し出すと手が動いてしまうのですが、パワポ利用の時はレーザーポインタを振り回せて手持ちぶさたではありません。今や、スマートアートもグラフも使えるようになって、もちアニメーションも、なかなかの使い手に成長!?パワーポイント様様です。

 理論を話すことなんてできないので、大阪市の市民後見人の皆さんと接していて、私自身が実感していることを中心に伝えたつもりです。市民後見人の活動が、わたしたち専門職の後見事務へも影響を与えているし、また地域住民の皆さんの意識改革へも繋がっていると思われること、そして専門職が市民後見人の活動を支援する時には敬意を忘れてはならないこと、などです。

市民後見人連絡会

 大阪市の市民後見人バンク登録者の方たちには、連絡会というのがあって、その総会と懇親会に参加してきました。

 「教え子」という表現は僭越になってしまいますが、講義や相談などで接してきた市民後見人の皆さんと、お酒を酌み交わしながらざっくばらんにお話しできて、とても楽しい一時でした。

 大阪市の市民後見人は「報酬を前提としない」というところに大きな特徴があります。その方針は果たして貫けるのか、事業の継続性の点で問題はないか、ということは度々、他から受ける質問です。身近で見ているわたしとしては、その点を見計らう一つの事象として、一度後見業務を経験した方が、もう一度引き受けても良いと考えられるかどうか、「もうコリゴリです」と思われるかどうか、があると思っており、その場でも何人もの方にお尋ねしました。

 結果としては、皆さん「もう一度機会があればやりたい」というお答えでした。もちろん、「もうコリゴリ」と思った方はそのような席へも来られないでしょうから、経験者全員が全員というわけではないと思います。が、大阪市のこの特徴は、決して無理のあることではないのだと確信しました。

 お話を聞いていて特に頭が下がったのは、多くの方が「後見人をすることで、自分が成長できた」「本当にわたしが後見人で良かったのか、ご本人のためになったのか、ということを自問自答する」「わたしが後見人を務められたのは、センターの職員や専門職の先生たちのおかげ」と口々に仰ったことです。なんて、謙虚な言葉なのだろうと思いませんか。

 職員も、私たち専門職も、きちんとフィーを得てその役割を果たしているのです。この市民後見人の皆さんは、何の義務もないのに、自ら大きな重責を無報酬で引き受けておられます。周りで活動支援する立場の皆が、それぞれ熱い思いを持っているのは確かですが、それでも、この市民後見人の真似はそう簡単にはできないと思います。本当に、この人たちがしていることはすごいことなのに、そんな自負よりも、被後見人のことを気遣い、謙虚に自らを振り返っておられます。

 お酒のせいもあるかも知れませんが、目が潤むのを感じて、急いで気を逸らさなくてはなりませんでした。こうした価値ある事業に深く関与する機会を得られて、本当に幸運だったと振り返って思っています。

 報酬付与を受けている市民後見人の方と接したことがないので、この報酬面でのスタイルの違いが、市民後見人の姿で差が生じるものかどうかは分かりません。全く変わらない可能性もあるし、多少違うかも知れないし、とても関心があります。