登記のしごと

大抵のお家のファクス不調の怪

 大変ご無沙汰しております。今頃記事を書いたって、誰か読んでくれるのかしら?という思いもありますが、最近、ある弁護士のブログを見たら、月に一度のペースで投稿していて、それを真似ようという気持ちになったものでして・・・

 さて、わたしたち司法書士は書類を扱う仕事なので、お客様に書類を渡す場面は沢山あります。委任状や、業務についての手順書や、登記事項証明書やらなんやらかんやら。

 電話で打ち合わせをしていて、取り急ぎ内容を見てもらいたい時に、それが会社ではなく個人のお客様の場合、「こちらのお電話番号でファクスはお受け取りいただけますか?」とお尋ねします。

 すると、十中八九「今、ファクスの調子が悪いんです」と言われます。

 これは誇張でもなんでもなく、正直なわたしの実感です。滅多に、ファクスで送信できることはありません。きっと、電話機を買うとき、値段もそんなに変わらないしファクス付きで購入するものの、ほとんど使うこともなくって、用紙を常備もしていないし、ディスプレイで内容を確認できるらしいけどその使い方も分からない、っていうのが実態なのでは?と想像しています。

 なぜなら、わたしがそうだからなんですが、結局、Eメールアドレスをお聞きして、メールで書面を送信し、所期の目的を達することになります。これからは、ファクスの有無を聞くよりも、メルアドを先にお尋ねしようと思う今日この頃です。

 ただ、我々が扱う文書の内容は、個人情報と無縁のことは少なく、パスワードを付けて送信しなくてはならず面倒くさいという思いがあるのも事実。それに、メールを毎日確認しない人もいるので、伝わっているかがよく分からずに困ったりもします。ファクスにも番号押し間違いによる誤送信というリスクがありますが、途中で、盗み取られる恐れはありませんからねぇ。

 

遠方での不動産取引

 昨日は、不動産決済の立会で日本海側まで出張していました。どんな雪景色かと身構えていたのですが、道中も目的地でも雪は一かけらも見えず。場所によって随分違うのですね。

 決済を行った金融機関は、対象の不動産の所在とは少し離れていました。法務局が近くにあるにも関わらず、申請しなければならないのは隣の管轄法務局。さて、スムーズに登記申請を行うにはどうしたものか?と考えました。

 最初は、当然にわたしが電車で移動して管轄法務局に申請するつもりだったのですが、電車の便を見てみると、時間がとてもタイトです。そこで、登記原因証明情報を事務所にファクスし、それをPDF化して事務所からオンライン申請することにしました。そうすれば、遠隔地でもすぐに申請ができます。

 添付情報は、わたしが事務所に戻ってから整えて簡易書留で発送することしか念頭になかったのですが、いっそのこと、決済場所の郵便局から発送すれば早く投函できるし、隣接地域なので早く到着するだろうということになりました。

 オンライン申請の悪口はよく耳にします。確かに使い勝手が悪いことは多いし、色々と不安なこともあります。しかし、登記申請は受付順序が物を言いますから、遠隔地への登記申請には大きな威力を発揮します。

 郵便局で簡易書留を発送して、年賀状を売っていた局員さんにカニを売っている店の場所を聞き、クール便で発送しました。そう、今夜はかにすきです 申請が完了していなければ、カニ購入などという心の余裕は持てなかったでしょう。合わせて買った地酒と共に、楽しみです

桃とピリオド

 福島の桃、というのを食べました。果肉が硬いのが特徴だそうですが、やっぱ、桃は歯ごたえのない方がいいかも?

 平成14年から、会社の名前「商号」に使用できる文字が増えました。かつては使えなかったアルファベットや記号も使えるようになったので、もう「商号は何でもあり♪」という気分になっていたのですが、先日もう少しで落とし穴に落ちるところでした

 依頼者はカタカナの名前の会社でした。画数の関係で、カタカナの名前の最後に「.」を付け加えたいという希望を寄せられたのです。「ハーイ、分かりました。1週間もかからずに完了すると思いますよ」と簡単にお答えしたのですが、puっちゃんが「できるんですかね?一度法務局に確認してみます」と異を唱えてくれたのです。

 結果は、末尾の「.」は言葉を省略している場合のみであり、すなわちアルファベットで構成されている商号にしか使えないとのこと。カタカナではダメだそうです

 早めに希望が叶わないことを伝えることができたので事なきを得ましたが、万が一登記申請をしたのに却下などということになっていたら、、、、あー、恐ろしや。こんな時相棒の存在を有難く思いますね。

 しかしながら、アルファベットの末尾に「.」を使えないという理由も、分かったような分からないような、です。まぁ、意味を持たない記号の使用を許すと、例えば「...」なんかも出現して歯止めが利かなくなりますもんね。

株主総会シーズン

 それにしても暑いです。5月の冷気が嘘のようです。

 司法書士の端くれなので、6月は定時株主総会シーズンでちょぴっとバタバタしています。会社法以降、役員の任期を10年に伸長した会社が増えはしましたが、それでも役員に親族以外を選任している会社や、そもそも同族会社でない会社は、任期を二年で維持していることが多いものです。

 また、会計監査人を設置している会社では、毎年その変更登記をしなくてはなりません。

 そんなわけで、入梅前はちょっとした書き入れ時となります。

 開業して早いもので16年を過ぎました。その間、設立登記を承った会社はいくつあるでしょう?ふた月に1会社設立として、100くらいになりますねー。そんなものでしょうか?その内の一社が今年役員改選期に当たるので、その案内をファクスしたところ一向に届かず、puちゃんが電話してみると「この電話番号は使われておりません」のメッセージが流れたそうです 諸行無常が道理とは言え、関与した者として悲しいものです。

 ちなみに、同期の女性司法書士のウェブサイトには、会社設立は平均してひと月に10社、とかつて記載されていました!羨ましいことです

 さて、奇兵隊政権が誕生して民主党の支持率アップだそうで、ムードに流され過ぎじゃない?とツッコミを入れたくもありますが、基本民主党に期待したかったのだけれど、前首相のあまりの情ない振る舞いにがっかりしていた、という所なのかな?と納得したりしています。

 またもや事務所費問題で一騒ぎしようと企む様子が窺われますが、お願いだからそんなしょうもない話でエネルギー使わないで!と懇願したい気分です。不適切な処理をした人たちは、公に反省して「二度としません」と誓って、とっとと任務を果たして行ってもらいたいと願っているのが、多くの声ではないでしょうか。

登記をなめては困ります!

 海千山千の不動産業者さんはいろんなことを画策して、登記についての意見を我々に聞いてこられます。司法書士ならみんな経験のあることでしょう。

 よくある話が、「この不動産入手のために真実にお金を出したのはA氏なのだけれど、色々な事情があるので、不動産の名義はB氏にしておきたい。でも、いざという時にA氏の権利を保全するためにどんな登記をしたら良いか?」という類のものです。

 これってとても矛盾した話だと思うのです。B氏の名前を借りようとする時点で、登記を便法としか思っておらず軽んじています。一方で、A氏の財産権を守るための正当な手段としての登記を求めているのです。

 基本的に、そんな都合のいい話はありませんよ、というスタンスで描いた絵をお聞きします。

 日本の不動産登記には公信力はない=登記を信じたからと言って常に保護されるわけではない、というのが原則ですが、上記のA氏とB氏のように互いに承知して虚偽名義にした場合に、それを信じて取引した第三者の権利は保護されます。つまりB氏が自分名義であることを利用して、第三者にその不動産を売った場合などです。仮の名義にするというのはリスクの塊と言うしかありません。

 実際の相談は、複数の当事者の利害を調整した複雑怪奇な絵であることが多く、そんなややこしいことをして、尚且つ万全のリスクヘッジなんてあるはずないと思うのです。そもそも登記を道具のように扱われると、細心の注意を払って神経を消耗して不動産決済に臨んでいる立場からすると、腹立たしいことこの上ないのですが、そんなことないでしょうか?

 最近そんなことが続いたので、日頃の鬱憤を晴らしてみました そんな青臭いこと言わずに、もっと頭を使えばいいスキームが生まれるのでしょうかね?でもつい、策士策に溺れる、って言葉を思い出してしまうのです。

登記行政のヒエラルキー

 司法書士は、法務局から電話があると心臓が縮み上がる、可哀相な存在です。あまり良い知らせはなく、大半が登記申請書の間違いの指摘の電話だからです。

 ちなみに、同業者間でよく言われることですが、裁判所からの電話はさほど怖くありません。間違いを指摘されても修正が効くことがほとんどだからです。登記の場合には、修正できずに申請を取り下げざるを得ないことがあります。となると、登記申請の受付日がずれて来ます。登記は早い者順が一つのルールなので、受付日が予定より遅くなるととんでもない損害が生じることがあり得るのです。

 そんな訳で、私たちは法務局からの電話に過剰に反応してしまいます。

 今朝、久しぶりにそんな電話が掛かってきました。決してしょっちゅうあることではありませんので念のため・・・ともかく一気に事務所内がブルー一色です。事務所内で「気をつけなあかんよ」と言い残し、わたしは法務局へ向かいました。そして登記官から「気をつけてくださいよ」その他諸々言われながら申請書を訂正しての帰り道、さっき自分が事務所で言ったことを言われたなぁ、これが登記行政のヒエラルキーだなと妙に感じ入ったのです。法務局は司法書士本職に、司法書士は事務所内で、「間違えないようにしてください」と指導するわけです。

 さて、同職の人たちに「遺言と遺言執行」の講義をする日が近づいてきました。リハーサルが思ったより進んでないので、すこーし不安です。今夜頑張ります。

知りたがりの金融機関

 月末は一部の司法書士にとっては書き入れ時です。不動産売買の登記が集中する時期だから。仲介業者も金融機関も、月毎の目標や成績があるでしょうから、何とかその月内に押し込もうとする力が働くからだと思っています。

 近々抵当権設定登記を申請する件。借入をする方が以前からのお客様で、登記を担当することになりましたが、銀行が登記費用を知らせるようにと言います。しかし、借入金は不動産の価格と同額で、登記費用はお客様の自己資金からお支払いいただくことになっています。銀行には関係ないのじゃないの?という感じがしてなりません。それも、ローン実行と同時に銀行から振り込む段取りならいざ知らず、後日直接いただくのです。

 別に金額を知られて困るわけではないけれど、お客様から聞いていただくのが適切な気がします、と答えておきました。

 しかし、立場を変えれば、金融機関の気持ちも判らないでもありません。私たちだって、登記手続きが本来の目的外に利用されていないか、いつも心配で、できる限りの情報を得ようと「知りたがって」しまいます。

 とは言え、上記のケースで、金融機関にとって登記費用は全く関係ないと思うのですが。こんなことで引っ掛かるから、銀行から好かれないのでしょうね

会社の誕生日

 年度初めの昨日、2件の株式会社設立登記を申請しました。

 会社法第911条で「株式会社の設立の登記は、その本店所在地において、(中略)しなければならない」とされており、第908条で「この法律の規定により登記すべき事項は、登記後でなければ、これをもって善意の第三者に対抗することができない。」と定められているので、結局のところ、会社を設立した=設立登記をした、ということになります。

 で、いつが設立登記をした日になるのかと言えば、「設立登記を申請した日」なのです。よって、会社の誕生日=設立登記を申請した日となり、昨日などはキリが良いので設立には好まれる日なのです。

 では、1月1日も多いのではないか、と思われるでしょうか?1月1日が設立日の会社は皆無だと思われます。法務局が休みなので登記申請ができないからです。

 記念日や六曜、または信頼する占い師の言などをもとに、「この日に申請してください」と希望されても、土日のため希望に添えないこともこれまで何度かありました。

 そんなわけで、不動産登記の申請は、お金の移動との関係で必ず申請日を守らなければならない場合がありますが、理由は違っても、会社の設立も申請日が大切な登記申請となります。

集合債権譲渡

 債権譲渡担保登記の準備をしています。登録免許税が、譲渡債権の個数が5000個以下とそれを超える場合とで異なってくるのですが、今回もかなりの数になりそう・・・・登記申請データの入力は想像しただけで息が上がります

 何年も前に債権譲渡登記を準備して登記申請に至らないことがありました。原因は、譲渡人の会社登記に債権譲渡をした旨が記載されるから、というものでした。見慣れぬ「債権譲渡登記」が会社謄本にあれば、信用不安に陥ってしまうというのです。結局その会社は債務不履行を起こして倒産し、債権を譲り受けるはずだった会社はそこの商品(食品)を押さえて安売りしていました。

 平成17年に債権譲渡特例法が改正された際に、会社登記簿に債権譲渡登記したことを記録するシステムは廃止され、別に、債権譲渡登記事項概要書ファイルなるものが設けられました。これは会社謄本同様に誰でも請求できるものです。会社の登記事項証明書を見れば債権譲渡したことが判明するという点が、利用を妨げる原因になっていたのでしょう。債権譲渡したことをむやみに知られたくない譲渡人の事情と、公示の必要性に折り合いをつけた格好?となると、取引の相手方を調査する際には会社の登記事項証明書だけではなく、債権譲渡登記事項概要書も請求してみるべきと言えるでしょう。そんなこと実践しているという話は身近では聞いたことはないのですけど、現場ではどうなんでしょうか?

銀行の品格?

 抵当権の抹消登記に必要な書類は、担保設定していた金融機関から受け取ります、当然のことながら。抵当権設定契約書(これに設定登記した際の法務局の受付印が押されています)、抵当権解除証書(タイトルは色々)、金融機関の抹消登記委任状、そして金融機関の資格証明書(3か月以内のもの)です。この資格証明書は原本還付が可能なので、期限内は使いまわすことができます。当然、お役所と違って経費にシビアな金融機関は、抹消登記が完了したらこの資格証明書を返却することを要請します。

 返却用の自行あて封筒を渡されるのは普通なのですが、その封筒に、切手が貼ってある銀行と貼ってない銀行があります。わたしの考えでは、資格証明書の使いまわしは銀行の利益なので、そのための経費は銀行が負担すべきということになるのですが、まぁ色んな考え方があるのでしょう。あるいはそのようなロジックの問題ではなく、切手を貼っていなければ発送する司法書士が貼るだろうから、それでいいじゃないか、という発想もあるように思います。

 最近近所の銀行で切手を貼ってない封筒を渡され、釈然としないよねー、とpuっちゃんと言っていたら、今日受け取ったメガバンクの返信用封筒は切手が貼ってあって、「さすが!」と拍手いたしました。