成年後見制度

ショックなことー

 ショックなことー。

 家に帰って、モワッと温かいので、デロンギヒーターに手をやると、スイッチが入ったままになってたことー。

 いつからなんだろ?今月の電気代が心配・・・

 今日は、リーガルサポートの研修で、相談のロールプレイを行ないました。判断能力が低下して万引きを繰り返している高齢女性、警察から度々呼び出されている姪、姪が相談した地域包括支援センター職員、そして高齢女性に成年後見制度を利用したらどうなるか説明するために派遣された司法書士の役柄を分担して、自宅への訪問時からお芝居(小芝居?)が始まりました。

 わたしは高齢女性役で、自由に振る舞えて楽ちんでしたが、「花子さん(役名)のためにみんな集まってるんですよ」などと口々に言われると、圧迫感を感じてしまい、反撃する能力はないので心を閉ざすしかない、という心境になりました。「みんな味方ですよ」と伝えたくて、わたしもそのような台詞を言うことがありますが、必ずしも伝わるわけではないんだと気づくことができました。

 また、姪がいてくれたので気を張らなくて済みましたが、これが、初対面や1、2度会ったことがあるだけの人ばかりであれば、緊張感であまり自分のことを話せなかっただろうな、と思います。有効な面接を成立させるには、ご本人が気を許せる人の同席は不可欠だとつくづく判りました。

 同じ設定であっても、それぞれの役を誰が演じるかで展開は千差万別だろうし、繰り返しやってみても面白そうです。

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診断書の怪

  数年前に任意後見契約を締結した方が、しばらく前からキャッシュカードの暗証番号を忘れたり、しょうがないので銀行の窓口でお金を下ろそうとすると印鑑が違っていたり、通帳もあるはずの引き出しになかったりで、そろそろ効力を発生させましょうということになりました。

 任意後見監督人選任申立です。

 そのためには、家庭裁判所で定められた様式で「診断書」を医師に作成して貰う必要があります。初診で精神科を受診したところ、長谷川式スケールで23点あり、認知症だとしても軽度と思われましたが、画像診断などから「成年後見相当」との意見が出されました。もしかしたら医師は、今回の申立が「任意後見監督人選任申立」と知って、本人の行為能力制限がないことを理解していたのでしょうか。これまでの経験では、精神科の医師は、どちらか迷うような場合には「後見」よりも「保佐」、「保佐」よりも「補助」を選ぶような気がしており、それは、成年後見制度が本人の権利を制限するネガティブな面に注目している(従前の禁治産制度のイメージが強く残っている)からだろうと思っていたので、そんな風に推測しました。

 「怪」は大げさかも知れませんが、医師が作成する診断書のばらつきには、困惑することがあります。もちろん専門職ですから、個々の医師の独立した診断があるのは当然のことですが・・・しかし、同じ患者でも、医師によって大きく異なる診断結果がなされたことがあるのです。

 成年後見制度利用促進の議論においても、診断書のあり方については一つの課題として認識はされていますが、どうなることやら。お医者さんたちに、成年後見制度用の診断書作成について、一定程度の共通認識を持って貰う手立てが取れないのなら(研修とか絶対無理でしょうしね)、生活上の実際を家庭裁判所に伝えるソーシャルレポートのようなものを診断書に代えないと、利用促進は図れないと思ってます。「診断書を取る」というプロセスが障害となることが多いのです。

 そんな簡便に成年後見制度の利用を開始していいものか?という疑問も当然でてくると思います。制度そのものを、もっと柔軟で、誤解を恐れずに言えば気軽に使えるものに変えることも同時に検討すべきです。今、全国で進めようとされている「促進計画」はそこまで踏み込んだものではないですが・・・ 

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結果オーライ

 ゆらゆらと 葉桜まぶし 昼下がり

 これはちょっと前に詠んだ句です。記録のためにアップ! 

 判断能力が不十分な人が、周囲の支援者から、自分が置かれた状況などの情報を理解できるように知らせてもらいながら、自分自身のことについて自分で決定できるようにすることを「意思決定支援」と言います。権利擁護の世界では、しばらく前から頻繁に語られている言葉です。

 介護付有料老人ホームに入所している高齢女性が、脚が弱くなってしばしば転倒するようになって、施設からは介護居室への移動を薦められていたのですが、従来の一般居室で暮らすことを希望していて、でも現実にはなかなか難しく介護居室で仮の暮らしを始めたところ、細っていた食欲が戻って顔もふっくらし、表情も柔和になって、拒絶反応があった介護居室へ正式に移動する決心がついた、ということがありました。

 意思決定支援の考え方からすれば、ご本人が一般居室を希望しているのですから、その実現のために努力すべきで、介護居室を結局受け入れたという「結果オーライ」は褒められないということになるのかも知れませんが、体験してみないとその良さが分からないということは、判断能力の有無にかかわらずあることだと思っています。

 試行と推奨の差って、難しいですね。

 

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暮らしに起こること

 成年後見人をしていると、本当に種々雑多な仕事をすることになります。なぜなら、人生に起こりうることは全て、本人に代わって成年後見人が対処すべきことになりうるからです。

 で、この一週間は色々ありました。

 エアコンが壊れたので、生死に関わるかも知れず、急きょ付替え。窓の桟の下に出来上がっていたあしなが蜂の巣の駆除。寝室をイタチが走り去るので、捕獲。空き家の裏口の戸が壊れて物騒なので、修理。

 もちろん、いずれも自分の手で対応したのではなく、「手配」をしたものです。しかし、エアコンを買ったことはあるので悩みはしませんが、それ以外は、自分の暮らしで経験したことがないので、どこで手配したら良いかもわからず調べるところから始めなくてなりません。

 実は、後見業務って、こうしたことの積み重ねです。

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死亡届は誰が出す

 成年被後見人の親御さんが亡くなり、その死亡届を誰が出すべきか、で改めて戸籍法を紐解きました。

 実は、親御さん自身にも保佐人がおり、その保佐人が「わたしが死亡届を出しましょうか」と申し出てくださったのです。しかし、成年後見人等は「死亡届を出すことができる」と戸籍法が改正されましたが、決して届出義務者ではなかったはず。なので、「こちらで対応します」とお答えしました。

 直感的に、同居していた子である成年被後見人は、知的障がいですが、かなりのことを分かっておられるし、死亡届を出せるはず、と考えていたのですが、念のため、法律を確認しました。

 まず、第87条で、下記の通りとなっています。

 左の者は、その順序に従つて、死亡の届出をしなければならない。但し、順序にかかわらず届出をすることができる。

 第一 同居の親族

 第二 その他の同居者

 第三 家主、地主又は家屋若しくは土地の管理人 

② 死亡の届出は、同居の親族以外の親族、後見人、保佐人、補助人及び任意後見人も、これをすることができる。

 そして、第31条に「届出をすべき者が未成年者又は成年被後見人であるときは、親権を行う者又は後見人を届出義務者とする。ただし、未成年者又は成年被後見人が届出をすることを妨げない。」とありました。一瞬、わたしが出さなくてはならないのか!と思いましたが、但書により、同居の親族である成年被後見人自身に死亡届を出していただきました。

 第87条第2項は、あくまでも「できる人(資格者)」を定めているのであり、「しなければならない人(義務者)」がいるのであれば、そちらから届出するのが本筋だと思うのです。

 そして、届出義務者の成年後見人から届け出た場合の戸籍の記載まで調べてはいませんが、わざわざ成年後見が開始していることを明らかにしなくても、ご本人が届出できるのであれば、その方法を選択するのが妥当と考えました。

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銀行の進化

明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
暦の並びのせいか、まだ七草がゆだというのにお正月気分はすっかりなくなってしまいました。
関わりのある人の入院情報が相次いだこともあるかも知れませんが・・・

さて、4日の仕事始めに、久しぶりに、銀行へ成年後見人の届出に行きました。

わたしは通常、事務所を成年後見人の住所として、成年後見登記をしてもらっています。
今回もそうなので、準備した物は下記の通りです。

1,成年後見登記事項証明書
2,司法書士会員証(登記事項証明書記載の住所が確認できる)
3,運転免許証
4,司法書士職印証明書(印鑑証明書の代わり)
5,司法書士職印(実印の代わり)
6,銀行に新たに届出る印鑑

本当は、実印などなくっても、後見登記事項証明書の「成年後見人」事項に記載されている人間と、わたしが同一かどうかを確認できればいいはずんなんですが、制度スタート時から、なぜか印鑑証明書の提出と実印押印を求められるという実務が続いています。何年か前に、ゆうちょ銀行のみが、印鑑証明書を求めなくなりましたし、全国銀行協会もそのような見解を発表しているのですが、なかなか改善されていません。・・・でした。

ところが、一昨昨日、三井住友銀行へ行った際、上の1~6を提示したところ、3があるなら、4,5は不要と言われたのです!それも当たり前みたいに!えー、今までご無体な要求をしていたくせになぁ、完全に棚に上げてるなぁ、と思ったものの、ともかく歓迎すべき変化です。「あらそう」と印鑑証明書を引っ込めました。

そうか、そうか、ついにそういう時代になったのかと、嬉しい気持ちで、次に三菱東京UFJ銀行に行きました。もうオチは分かりますよね。4,5を出さなかったら、「印鑑証明書はお持ちですか?」と催促されてしまったのです。「三井住友では要らなかったよ」と言おうかと思いましたが、窓口で戦ってもすかされるだけ。無抵抗で「ありますよ」と差し出しました。

大阪に住まう者にとって、住友銀行と三和銀行が圧倒的に身近な金融機関で、あちらこちらに支店があったし、知り合いも結構勤めていたりします。何かにつけ、二行を比べてしまうのですが、成年後見人の届出に関しては三井住友銀行の勝ち~、でしょうか。

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足を見て分かること

 認知症の成年被後見人と心療内科受診に行きました。市役所に提出する診断書作成のためと、併せて、今後の生活を考える上でのドクターの意見を聞くことが目的でした。

 そこで、ドクターは本人の素足を指さして、「足を見たら、その施設がどんな施設なのかよく分かる。この人は、足の爪はこんなに伸びてるし、水虫やし、外反母趾もひどくて指が重なってる。心ある施設ならこんなの放っておかない」と厳しい口調で仰いました。恐らく、外から見えにくい靴の中だからこそ、真にまっとうな仕事がなされているか判断できる、という意味だろうと思われます。

 かつて研修で、良い施設の見分け方として、お茶を飲むカップに茶渋がひどく付いていないかを確認しては?という話を聞いたことがありましたが、足を見るというのは説得力がありました。

 ところで、この本人は週に6日デイサービスに通っているのですが、果たしてデイサービスで爪を切ってもらうことって、真正面から要求できるのかしら?と気になって調べてみました。入所施設なら当然のことのように思えるのですが、通所なので、何から何まで世話になるのは難しそうな気がしたのです。

 老人福祉法第5条の2第3項に「老人デイサービス事業」について規定されています。そこでは「厚生労働省令で定める便宜を供与する」となっていて、その便宜については老人福祉法施行規則第1条の3で「入浴、排せつ、食事等の介護、(中略)健康状態の確認その他の身体上若しくは精神上の障害があつて日常生活を営むのに支障がある六十五歳以上の者又はその養護者に必要な便宜」とあります。なので、伸び過ぎた足の爪を見過ごしていては「健康状態の確認」ができていないことになるのでしょうし、足の爪切りを自分でできない高齢者なのだから爪を切ることは「必要な便宜」ということでいいのかなという結論に至りました。

 成年後見人は、本人の身上に配慮する義務がありますから、本人の身体状況を把握できていなかったわたしは謗りを免れませんし、施設が適切な処遇をしていなければ、本人に代わって改善を求めるべきですから、そういう意味でも職務を怠っていたことになります。施設任せはダメだということです。

 ドクターの厳しい物言いは、同席していたケアマネジャー同様、わたしにも反省を促すものでした。

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後見人の報酬助成

 不動産の決済で、買主が銀行借り入れで購入資金を手当てする場合、所有権移転登記に必要な書類が揃っているのを確認してから、銀行が融資実行手続きをするのですが、これが終わるのに結構時間がかかります。まぁ、一時間は待つのを覚悟しなくてはなりません。これまでの20年の司法書士人生で最長はどれくらいだったかぁ?2時間超えは間違いなくあったと思います。

 先日、売り主の代理人である弁護士二人と共に(他にも不動産業者など幾人か当事者はいましたが)、銀行手続きの完了を一時間ほど待っていました。お二人とも気さくな方で、四方山話をして弁護士業界のことなどお聞きしていました。

 後見人業務が話題になったとき、本人が生活保護受給者で、地元市町村に成年後見制度利用支援事業による報酬助成要綱がない場合など、報酬が貰えずに困っているという話が出たので、わたしはすかさず「公益信託成年後見助成基金」のことをご説明しました。

http://www.legal-support.or.jp/act/foundation_application/bosyuu-youkou.pdf

 この基金は、わたしの所属するリーガルサポートが委託者となっているものですが、利用できるのはリーガルサポート会員に限るものではなく、親族以外の個人が後見人等になっている場合に申込みができます。かつては、弁護士からの申し込みはなかったそうですが、ここ数年徐々に増えてきていると聞いています。

 どうやら、そのような基金があることはご存知だったようですが、リーガルサポートだけのものだと思っておられたそうで、ある意味耳寄り情報だったかも・・・

 この基金は篤志で成り立っていて、寄付がなければ、いつかは資金は無くなってしまいます。そのことも合わせて説明しておけば良かったかな、とちょっと後悔しましたが、実際に基金を利用されれば、きっとそのことにも思いを致してもらえることでしょう。

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後見人のバトル

 成年後見人として、色んなところで、特に金融機関とは大きいのから小さいのまでバトルを繰り返しているのは、先日書いた通りですが、先輩同業者は携帯電話会社と闘っているとのこと。

 被後見人が携帯電話を持ちたいそうで、その手続きなのですが、過剰な情報の要求に辟易としているそうです。電気通信事業法第6条「電気通信事業者は、電気通信役務の提供について、不当な差別的取扱いをしてはならない。」に抵触してないのでしょうかね?

 先輩にはとことん闘っていただきたいと、エールを送りました。でもこういう闘いって、自分がやるとなると結構しんどいんですよね~ でも闘わないと改善されないし、ってわけで他力本願しながら、自分もたまには頑張るということです。

 ところで、前回の記事に「メガバンクM」と書きましたが、もちろんお気づきですよね?メガバンクのイニシャルは全部「M」だってこと。いや、「み」と絞り込んでも、絞り込んだことになりませんね。

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後見人のキャッシュカードの限度額引き上げ

 成年後見人の銀行での手続は未だ色々で、私たち後見人の立場からは不満がいっぱいです。その一つは、取扱支店でしか出金や振込ができないと言い張る銀行があること。なぜなのか、合理的理由が分かりません!!

 また、成年後見人にはキャッシュカードは発行できない、と言い張る銀行もあります。窓口でしか取引させないのです。なぜなのか、やはり理由が分かりません。キャッシュカードという物が、口座名義人以外が勝手に使用するリスクが高すぎる代物だと言うのなら、キャッシュカードそのものをなくすべきでしょう。

 そんなこんなで、私たちは不満たらたらで、しょっちゅう銀行の悪口を言っています。

 で、先日わたしはメガバンクMにある成年被後見人の口座のキャッシュカードの出金限度額引き上げを行うことを試みました。

 取引支店は片道30分の駅前にあります。普段の50万円までの出金や振込は、幸いキャッシュカードは発行されているので、事務所近所の支店でも用を足すことができました。しかし、この度家裁から後見人報酬の付与決定があったのですが、50万円を超えるため、キャッシュカードでは出金できないことに気付いたのです。そして、取引支店に電話して聞いたところ、窓口での出金は、取引支店のみで可能とのたまいます。

 ちなみにこの報酬額は、ウェブサイト上の「報酬のめやす」にぴったり合致した金額です。

 ご本人は施設に入所したため、取引支店近くへ出向く用事は全くなく、ようやく付与された報酬をどのように受領したものか、ミセス家計簿と相談した結果、「そうやん!キャッシュカードの上限額を引き上げたらいいんやん。ホームページには『お近くの支店で手続できる』と書いてるし、行ってくるわ」と作戦を決定しました。

 フロア案内の女性に「キャッシュカードの出金額の引き上げです。成年後見人です」と説明したところ、実は「取引支店に行ってください」と言われるのを半分覚悟していたにもかかわらず、届出用紙を準備してくれたので、小さなガッツポーズをして書き込みました。

 でも、用紙を提出してからは30分以上待たされ、その間ずーっと、もしもこの期に及んで取引支店へ行けと言ったら思いっきり文句言ったると身構えていたのですが、窓口の若い女性ではなく、後方の中堅どころ男性が出てきて、「取引店に連絡をしたところ、慎重に判断するようにとのことでございまして、これまで多額の出金はないようですが、上限額の引き上げが必要ということでしょうか」と慇懃無礼に尋ねてきます。「家裁で報酬が出て」と言いながら審判書でも見せたら、きっと喜ばれたことと思いますが、「ええ、50万円以上の出金が必要ということです」と返答すると何か言いたそうにされながらも、「では後見人の届出の際の筆跡と比較させていただきます」と来ました。二年ほど前に取引支店に出した届出用紙がファクスでも受けたのか、男性行員の手元に見えます。

 何を恐れてそんなにビビっているのか、さっぱり分からないけど、いつもの調子で殴り書いたら同じ筆跡だと判明したようで、結果、無事上限額は200万円まで引き上げられました。もちろん、その後すぐにATMで報酬額を出金したことは言うまでもありません。

 なあーんや、やっぱりやれば出来るんじゃん、ということと、今回得た教訓は、キャッシュカードを作った段階で、上限額の引き上げを行っておくべきだったということです。きっと嫌がられるんだろうけど・・・

 しかし、後見人が就いたからと言って、警戒する必要性がどこにあるのか、さっぱり、やっぱり分かりませんね。後見人が不当なお金を出金したって、通常の取引と同じ手続を取っていれば金融機関に落ち度はないと思いますが。それよりも、多くの善良な後見人の利便性について考えて貰いたいです。

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