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被後見人の手紙

 コロナ禍で本人に会いに行けないことが続くので、時々、ハガキを出しています。昔から買い集めた絵ハガキが沢山あるので、それを使って。もちろん、自宅暮らしで電話に出られる方とは電話でお話していますが。

 先日、特別養護老人ホームの相談員から電話がありました。わたしが成年後見人を務める認知症高齢者の男性入所者が、お姉さんに手紙を書きたいと言っている、よいか?という問い合わせでした。ご本人と電話を替わってもらったところ、長い間会っていないお姉さんだが、お互いいい年になったので、様子を知らせておきたいということでした。わたしに否やがあるはずもなく、相談員に手紙を出すのを手伝っていただくようお願いをしました。

 数日して、再び相談員から電話があり、仰ることには、お姉さん宛の手紙の中に、わたしから届いたハガキの一枚を同封したいとご本人が言っている、よいか?と。何のためにでしょう?と尋ねると、「この人にお世話になってるから、安心して」ということらしい、とのことでした。

 年老いて、独りぼっちで、長く喋っていないお姉さんを思い出して、連絡を取ってみたいという気持ちは容易に想像がつきますし、それを思うと切なくなります。そして、そんな大事な手紙に、わたしからのハガキを同封したいと思ってもらえて、誇らしく思えました。それほど長いお付き合いではありませんが、十分にコミュニケーションが取れる方で、暇を持て余しておられるので大活字本を届けたりしてきました。

 この数年「意思決定支援をしよう」の声が喧しいですが、大層な場面だけでなく、日頃の接点で気持ちが通じ合うような支援をすることも、もっと奨励すればいいのになと見ています。日常的にご本人の気持ちを慮っていれば、大層な場面でも、後見人が勝手に物事を進めていくことはないと思っていて。上の例は、ちょっと手前味噌ですし、いつもそう上手く行っているわけではないんですが。

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