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2021年6月

大活字本とは???

 特養入所中の男性に「大活字本」を届けたと前回書きましたが、「大活字本」ってご存知でしたでしょうか。

 ご本人を訪問して日中の過ごし方など四方山話をしていたら、ヒマな時は本を読むのが好き、小さな字は読めないから施設の本棚にある、字の大きな本を読んでるけど、数が少ないから同じのを何度も読んでる、と仰るのです。わたしは元来の遠視で近くを見るのが苦手なので、気持ちがわかるなー、と思い、同じ文庫本でもフォントサイズも行間も違うし、どの程度なら読めるのかなぁ?と思って、「いっつも読んでる本を見せてもらえませんか」とお尋ねしたのです。で、持ってこられたのが「大活字本」!ちょっと大きめの字、なんてものじゃなく、完璧に大きいのです。20ポイントくらいありそうでした。当然、紙幅も必要だから、分冊になっています。この世にこんな本があったのか!と驚きました。これなら読めるというのは、とっても納得。普通の本屋にはなかなか売ってないだろうし取り寄せるしかない、と思いました。

 年金収入のみで生活されていますが少し余裕があるので、そのお金から「大活字本」を買って届けたら、その都度とても喜んでくださいます。お会いできない今は、どうしてもお礼が言いたいと、特養の職員が電話を掛けてきて代わってくれるのです。その声に、役に立ててるなー、と喜ぶわたしは、単純ですね(笑)

被後見人の手紙

 コロナ禍で本人に会いに行けないことが続くので、時々、ハガキを出しています。昔から買い集めた絵ハガキが沢山あるので、それを使って。もちろん、自宅暮らしで電話に出られる方とは電話でお話していますが。

 先日、特別養護老人ホームの相談員から電話がありました。わたしが成年後見人を務める認知症高齢者の男性入所者が、お姉さんに手紙を書きたいと言っている、よいか?という問い合わせでした。ご本人と電話を替わってもらったところ、長い間会っていないお姉さんだが、お互いいい年になったので、様子を知らせておきたいということでした。わたしに否やがあるはずもなく、相談員に手紙を出すのを手伝っていただくようお願いをしました。

 数日して、再び相談員から電話があり、仰ることには、お姉さん宛の手紙の中に、わたしから届いたハガキの一枚を同封したいとご本人が言っている、よいか?と。何のためにでしょう?と尋ねると、「この人にお世話になってるから、安心して」ということらしい、とのことでした。

 年老いて、独りぼっちで、長く喋っていないお姉さんを思い出して、連絡を取ってみたいという気持ちは容易に想像がつきますし、それを思うと切なくなります。そして、そんな大事な手紙に、わたしからのハガキを同封したいと思ってもらえて、誇らしく思えました。それほど長いお付き合いではありませんが、十分にコミュニケーションが取れる方で、暇を持て余しておられるので大活字本を届けたりしてきました。

 この数年「意思決定支援をしよう」の声が喧しいですが、大層な場面だけでなく、日頃の接点で気持ちが通じ合うような支援をすることも、もっと奨励すればいいのになと見ています。日常的にご本人の気持ちを慮っていれば、大層な場面でも、後見人が勝手に物事を進めていくことはないと思っていて。上の例は、ちょっと手前味噌ですし、いつもそう上手く行っているわけではないんですが。

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