足を見て分かること
認知症の成年被後見人と心療内科受診に行きました。市役所に提出する診断書作成のためと、併せて、今後の生活を考える上でのドクターの意見を聞くことが目的でした。
そこで、ドクターは本人の素足を指さして、「足を見たら、その施設がどんな施設なのかよく分かる。この人は、足の爪はこんなに伸びてるし、水虫やし、外反母趾もひどくて指が重なってる。心ある施設ならこんなの放っておかない」と厳しい口調で仰いました。恐らく、外から見えにくい靴の中だからこそ、真にまっとうな仕事がなされているか判断できる、という意味だろうと思われます。
かつて研修で、良い施設の見分け方として、お茶を飲むカップに茶渋がひどく付いていないかを確認しては?という話を聞いたことがありましたが、足を見るというのは説得力がありました。
ところで、この本人は週に6日デイサービスに通っているのですが、果たしてデイサービスで爪を切ってもらうことって、真正面から要求できるのかしら?と気になって調べてみました。入所施設なら当然のことのように思えるのですが、通所なので、何から何まで世話になるのは難しそうな気がしたのです。
老人福祉法第5条の2第3項に「老人デイサービス事業」について規定されています。そこでは「厚生労働省令で定める便宜を供与する」となっていて、その便宜については老人福祉法施行規則第1条の3で「入浴、排せつ、食事等の介護、(中略)健康状態の確認その他の身体上若しくは精神上の障害があつて日常生活を営むのに支障がある六十五歳以上の者又はその養護者に必要な便宜」とあります。なので、伸び過ぎた足の爪を見過ごしていては「健康状態の確認」ができていないことになるのでしょうし、足の爪切りを自分でできない高齢者なのだから爪を切ることは「必要な便宜」ということでいいのかなという結論に至りました。
成年後見人は、本人の身上に配慮する義務がありますから、本人の身体状況を把握できていなかったわたしは謗りを免れませんし、施設が適切な処遇をしていなければ、本人に代わって改善を求めるべきですから、そういう意味でも職務を怠っていたことになります。施設任せはダメだということです。
ドクターの厳しい物言いは、同席していたケアマネジャー同様、わたしにも反省を促すものでした。
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