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2013年6月

ようやく梅雨空

 生きて行く上で起こることを「いいこと」と「わるいこと」の二つに大雑把に分けたとして、「わるいこと」が起こった時にどのように振舞うかでその人が分かるような気がする今日この頃。近々、わたしは嫌な場面に居合わせなくてはならないけど、いただけない振舞いなどしませんように

 早々と梅雨入りしたわりに、真夏日が続いていましたが、今日は「これでもか」っていうくらいずっと雨が降っています。水不足は嫌だし、梅雨には梅雨の天気でいてもらいたい、と思いますよね。鬱陶しくても。足がグチョグチョでも。髪がボワボワでも。

 さて、ある日被保佐人の女性に「選挙っていっつも行ってるんですか?」と尋ねてみました。実は初めての質問です。若い彼女は関心がないだろうと、思い込んでいたような気がします。近時の成年被後見人の選挙権回復の話題から、聞いてみたいと思ったのです。答えは「うん、行ってるで。ハガキが来るやろ」でした。では、どうやって候補者を選定しているのか、と気になりましたが、それを聞き始めると深みにハマりかねないので、「そうやね、ハガキ来ますね」と相槌を打ちました。

 それなりに長い付き合いになる女性ですが、まだまだ知らないことがあるものです。

 この方はわたしより年下なので、いつか、ご本人より若い人に保佐人を交代してもらうことになるのだろうと思っています。若年の頃から成年後見制度を利用される場合には、後見人等の交代はあり得るものと考えるのが適切ではないでしょうか。本人よりさらに若い人を後見人等に選任しようとすると、無理が生じそうな気がします。幾分かは人生の酸いも甘いも噛み分けていることは、後見人業務に結構必要だと思っています。講義などでは説明しにくいことですけど。

 わたしもそれなりに噛み分けてきたつもりですが・・・まだまだ修行が足りないかなぁ。

遺言はありませんか?の問い

 子のない夫婦の場合、片方が亡くなると、その相続人は残った配偶者と亡くなった人の兄弟姉妹(先に死亡していれば甥姪)になります(もちろん、親が生きていれば親と配偶者ですが)。遺言を書く必要性が高い例として、よく取り上げられます。

 子のない夫婦の夫が亡くなり、夫婦共有の自宅について相続登記をしたいという相談を受けました。司法書士にとって、とても一般的なよくある相談事です。相続人には、全く音信のない甥と姪がいました。さて、どうするか?ということで、取りあえず郵便で連絡を取ってもらったのですが、音沙汰なし・・・ 困ったなー、遺産分割調停を使う?それとも?と相談していたら、依頼者が「二人で約束してただけやから・・・」とつぶやきます。「それは何のことですか」と聞いていくと、どうやら「自分が死んだら相手に遺す」という意味の手紙を書いているとのことでした。

 二人の約束、ということなので、もしかしたら共同遺言になっていて無効かも?と思ったのですが、ちゃんとそれぞれ別の便せんに書いている!そして、日付も押印もあるではないですか。なんとまぁ、ここにれっきとした自筆証書遺言が残されていたのです。

 ご本人は、その便せんについて親族から「そんなんあかんやろ」と言われたために、遺言と認識していなかったとか。単に「遺言はありませんか?」と尋ねるだけでなく、もっと具体的に踏み込んだ聞き方をしていれば、無用に悩むこともなかったのに・・・ またまた、よい勉強をさせていただきました。

 しかし、その遺言が隅に押しやられたままにならなくて本当に良かった!!そのことにホッと胸をなで下ろします。

 遺言は、その内容はもちろんのこと、書いたこと自体について秘密性は高くあるべき、と思い込んでいたのですが、先日の家族法研究会での床谷先生のお話によれば、かつて遺言とは村の有力者の前で公然と行う行為だったそうです。確かにそれも一理あるのかな、と思った次第です。

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