遺言執行者がいる場合の管理計算
仲間内で「管理計算」のことが話題になっていました。
民法第870条「後見人の任務が終了したときは、後見人又はその相続人は、二箇月以内にその管理の計算(以下、「後見の計算」という。)をしなければならない。」とあります。が、ではこの「管理計算」とは、具体的に何をするのか???
本によってもさまざまです。
「最終の収支報告と残存した財産の明細をまとめる」
「後見事務の終了時においても、財産目録を調製して財産の管理内容を明確にする」
あえてか、具体的な記述に及んでいない本もありました。実際、同業者の間でも、統一されているとは言えなさそうな・・・ ともかく今日の論点はそこではありません。
任務が終了した後見人は誰に対して管理計算を行うのかと言うと、本人死亡で終了した場合には、その相続人と解されています。
昨年亡くなったご本人は、遺言を作成しその中で執行者を指定していました。遺言で処分したのは財産全てです。相続人はおられましたが、執行者が指定されている場合、相続人の相続財産に対する処分権限は制限されるし、執行者は相続人の代理人なので(民法1012条、1013条、1015条)、わたしは管理計算と相続財産の引き渡しを執行者に宛てて行いました。特に迷うこともなく。
けれど、冒頭に書いたように管理計算が話題になって、ふとそれで本当に良かったのか?と自問自答したのです。
ほとんどの本には、そんな場合のことまで書いていなかったけど、一冊だけ「相続人または遺言執行者に報告すること」との記述を見つけました。この著者はわたしと同じ考え方なのでしょうね。
相続人の方々には以前に面識があるので、一応亡くなった旨は連絡しました。詳細な報告をこちらに求められるということであれば、応じる準備はしているつもりですが。後見業務の本当にベタな部分は、やり方は実は十人十色だったりします。専門職であれば、自らの職責で判断すれば良いとも思いますが、市民後見人の活動が全国的に展開されると予想されているのですから、細かい点もできるだけ標準化する必要があると思っています。