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2013年1月

同時死亡の推定

 民法第32条の2「数人の者が死亡した場合において、そのうちの一人が他の者の死亡後になお生存していたことが明らかでないときは、これらの者は、同時に死亡したものと推定する。」

 この法律の効果として、同時に死亡したと推定された者同士の間には、相続は発生しないことになります。

 もちろん「推定する」ですから、確かな証拠により覆すことはできますが、どちらかが後で死んだとなると相続関係に大きな影響を及ぼすケースもありますので、この推定を覆すには明確な証拠が必要と言われています。

 諸外国では、年長者が先に死亡すると一律に決めている例などもあるようですが、いずれにせよ、何らかのルールがないと同じ事故などで親子や夫婦が死亡した場合に利害が対立する関係者がいて揉めることがあるのでしょう。

 医療技術の発達によって、恣意的に死亡時刻を遅らせることもできるという指摘もあるみたいですが、ともかく死亡の順序は誰が相続人か、そして相続分はどれだけかに大きな影響を与えるのです。ということを、ニュースを見ながら考えていました。

成年後見人と事実行為

 成年後見人は事実行為は行わないというのは、どの本にも書いてあることで、市民後見人養成講座でも十分に語られていることでしょう。成年後見人は法律行為を行うのであって、例えば食事を作ったり、入浴を介助したりという事実行為は職務ではないのです。きちんとした食事が取れていなかったり、清潔が保てなかったりする状況があれば、後見人はそういう状況を直接手を下して解消するのではなく、そうした不足を補うサービスを手配することが職務なのです。

 とは言え現場では、もちろんサービスの手配をするにしても、目の前の現実に対応するために事実行為を行わざるを得ない場合があります。ほとんどの後見人が体験していることでしょう。

 その日のわたしにとって、それは、背中掻き

 彼女はわたしに、「温かくなると背中が痒くなる。掻いて。親の敵と思って」と訴えるのです。それを無碍に拒絶することができる人がいればお会いしたい。そんなことできるはずがありません。ひとしきり爪で掻いて、痒み止めの軟膏を塗りました。

 事実行為を繰り返さなくて済むように、どんな手配をしたかって?「まごの手」の購入に決まってますよね!? ちなみに「親の敵と思って」というのは、それくらい強い力を込めて掻いて、という意味のようです。

任意後見人が体調不良で職務遂行できなくなったら

 任意後見の経験が多いと思われていて、有難いことに色々と相談を受けます。

 先日は、発効済みの任意後見人が、体調が悪くこのまま任意後見人を続けられない場合にどのような手続きをすれば良いか、という話を聞きました。どうも、話している人の事案でもないようで、実情は分かりづらかったのですが、ともかく、そんな経験あるわけないし、反対に考えるきっかけを与えてもらって勉強になります。

 恐らくオーソドックスに考えると、任意後見契約を解除することになるのでしょう。任意後見契約法第9条2項です。「本人又は任意後見人は、正当な事由がある場合に限り、家庭裁判所の許可を得て、任意後見契約を解除することができる。」と規定されています。体調不良が正当な事由になるかどうかについては、解除を認めなければ本人に不都合が生じる事態も考えられますから、十分に成り立つと思うのですが、家裁がそれを判断するのに、任意後見人の申告だけで許可を出すのか、それとも診断書程度の裏付資料を求めるものなのか、は分かりません。知りたいところです。

 しかし、解除しただけでは、本人の支援者が存在しなくなるだけです。任意後見が発効したということは何らかの支援が必要な状況にあるのでしょうから、そこを手当てする必要があるはずです。

 再度任意後見契約を締結するというのも、技術的にはあり得るでしょうが、判断能力の減退があるわけですから、わたしはこの道は行きたくありません。

 本人の能力如何で、補助あるいは保佐の申立てが可能であれば、本人申立をする道が考えられます。申立権者が近くにいれば、その人に成年後見も含めて適切な類型で申し立ててもらっても良いでしょう。

 しかし、結局は任意後見を終わらせて法定後見で支援することになる、ということであれば、任意後見契約法第10条を適用する方が手っ取り早いように思われます。任意後見人が、本人について後見開始審判の申立てをすると、「本人の利益のため特に必要があると認めるとき」は家裁は後見開始し、発効済みの任意後見契約は終了することになっています。

 もちろん法定後見を申し立てるのは任意後見人である必要はありませんが、実情を調査するには任意後見人の関与は欠かせませんから、任意後見人自身が申し立てるのが適切と考えます。

 果たして、体調不良で任意後見業務遂行が困難となっている事情が、「本人の利益のため特に必要があると認めるとき」になるのか? わたしは解除の時と同様の理由で十分なり得ると思いますが、この辺りどのように運用されているのか知りたいですね。

 もっとベターな方法や経験談などあればご一報いただけると幸いです

休肝日

 今年は休肝日を作る目標を設定しました。一応、100日!

 おそらく、昨年は数日だと思います。具合が悪くて寝込んでた日くらいで、疲労が溜まっているくらいなら、飲んで寝た方が良いなんて思ってました。

 それがなんで?かと言うと、一つは親しい同期男性同業者(かなり特定されますが)が、月単位でお酒を飲んでいないそうなのですが、明らかにお腹周りがサイズダウンした、と言ってることと、テレビで雨上がり決死隊の宮迫氏が胃がん手術から復帰して「体重は変わってないけど、お酒抜いたせいか顔のむくみがなくなった」と言ってたからです。

 まぁ同じような効果を求めようと思うと、たまに抜くんじゃなくて連続して飲まないべきなのでしょうが・・・ それはやっぱり無理というもの!!!
 で、今年は取りあえず1週間に2日飲まないペースを目指します。

 ちなみに、ただ今休肝日は3日です

遺言執行者がいる場合の管理計算

 仲間内で「管理計算」のことが話題になっていました。

 民法第870条「後見人の任務が終了したときは、後見人又はその相続人は、二箇月以内にその管理の計算(以下、「後見の計算」という。)をしなければならない。」とあります。が、ではこの「管理計算」とは、具体的に何をするのか???

 本によってもさまざまです。

 「最終の収支報告と残存した財産の明細をまとめる」

 「後見事務の終了時においても、財産目録を調製して財産の管理内容を明確にする」

 あえてか、具体的な記述に及んでいない本もありました。実際、同業者の間でも、統一されているとは言えなさそうな・・・ ともかく今日の論点はそこではありません。

 任務が終了した後見人は誰に対して管理計算を行うのかと言うと、本人死亡で終了した場合には、その相続人と解されています。

 昨年亡くなったご本人は、遺言を作成しその中で執行者を指定していました。遺言で処分したのは財産全てです。相続人はおられましたが、執行者が指定されている場合、相続人の相続財産に対する処分権限は制限されるし、執行者は相続人の代理人なので(民法1012条、1013条、1015条)、わたしは管理計算と相続財産の引き渡しを執行者に宛てて行いました。特に迷うこともなく。

 けれど、冒頭に書いたように管理計算が話題になって、ふとそれで本当に良かったのか?と自問自答したのです。

 ほとんどの本には、そんな場合のことまで書いていなかったけど、一冊だけ「相続人または遺言執行者に報告すること」との記述を見つけました。この著者はわたしと同じ考え方なのでしょうね。

 相続人の方々には以前に面識があるので、一応亡くなった旨は連絡しました。詳細な報告をこちらに求められるということであれば、応じる準備はしているつもりですが。後見業務の本当にベタな部分は、やり方は実は十人十色だったりします。専門職であれば、自らの職責で判断すれば良いとも思いますが、市民後見人の活動が全国的に展開されると予想されているのですから、細かい点もできるだけ標準化する必要があると思っています。

〆切が傑作を作る・・・らしいです

 関西ではまだ松の内なので、「明けましておめでとうございます」も許されますね。今年もよろしくお願いします。

 チェッカーズのフミヤの言葉として、標記の名言が紹介されていました。

 既に締め切りは一昨日だったんだけど、まだ傑作は到来しません・・・ やはり凡人には当てはまらないのでしょうねぇ。それとも、待ってるだけのわたしが悪い???いやいや、待ってるってところが凡人???ともかく形だけでも何とかしなきゃ。

 まだ先の話ですが、今年はわが業界の役員改選期。二年に一度の選挙の年です。昨年末辺りから「○○さんが出る」とか、「△△さんも出る」とか、「××さんは○○さんを応援して、その次に回るらしい」とか、実しやかに噂が飛び交い、ついにはちょっとざっくばらんではあるけれど公的な会議の場でも、不規則発言で「□□はまた副会長やんの?」という質問が飛び出す始末で、司法書士も人事・政治が大好きです。

 誰がトップに立つかで、長い目で見たときの業界の趨勢に違いが生じるものなのか、正直よく分かりません。ほとんどのことは、その時々の景気や社会情勢、政策決定によって道筋が付けられていて、選択の幅はなさそうに思えます。

 もっとも、誰がやっても同じのようで、誰がリーダーかで他のメンバーの意気が変わることは往々にして起こるし、皆の力が結集して、小さなことでもコツコツと成果を上げることを期待しないわけじゃありません。 

 どんな人にトップに立ってもらいたいかと言うと、外部の方々へお見せする同業者の代表ですから、見目麗しくなくても良いけど、ピシッと清潔でカッコよくて、誠実で教養あふれる挨拶のできる人がいいな♪ そんな贅沢言ったらあかんわ、とツッコミが入りそうですね

 もちろん、会の役員をしようというような方は、口を糊するための業務のほかに多忙な公務を引き受けてくれるわけで、そんな人がいるだけで有難く思わなくちゃいけないのですが・・・

 司法書士が三人寄れば選挙のはなし。あー面白いやら、ばかばかしいやら。そう思いながらも、一応情報収集のために耳を澄ましたりしています。一応、「ムラ」の住人なので。

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