成年後見と産業
経済産業省の「後見・信託事業に関する検討」調査事業の実施報告がウェブサイトで公表されています。
http://www.shimin-kouken.jp/materials/meti_23.html
成年後見制度は、判断能力が不十分な人が自分一人で自分の権利を守れない場合に、支援者を付けることで不当に権利が侵害されないように、さらにはより質の高い暮らしができるようにするための権利擁護システムと理解しています。
なので、経産省、文字通り経済と産業のことを担う省が、なぜに成年後見制度?と思ってしまいます。
この報告書を読むと、認知症高齢者などが増えてきちんと必要な物やサービスを購入しなければ、経済の停滞を招いてしまう、だから認知症高齢者等にお金を使わせるためには成年後見制度は大切だ、ということのように読み取りました。もしかして穿っているでしょうか?
これからの超高齢社会をにらんで、成年後見制度は重要なシステムであるという点では共通するのだけれど、その背後にある動機にはちょっと違和感を感じます。
ちなみに経産省では、老い支度と死後の場面を併せて「ライフエンディング・ステージ」と呼び、「ライフエンディング産業」の構築を提唱しています。
http://www.meti.go.jp/press/2011/08/20110810002/20110810002.html
私たちが提案している「任意後見契約+死後事務等委任契約」もこの「産業」の中に含まれている気がして、あまり居心地がよくありません。もちろん我々も無償で何かをお引き受けすることはなく、報酬はちゃんといただくことが前提ですので、キレイ事を言うつもりはありませんが、「産業」となると利潤追求が第一で、「依頼者の役に立ってこそ」という点が置き去りにされてしまいそうで・・・
そんなことにならないように、経産省として適正な方向性を示していくということなのでしょうけど、ともかく、そう簡単に納得できない二つの報告書なのでした。
最近は「終活」という言葉もあるそうですね。そうしたことを一人一人が真面目に考えられるのには大賛成ですが、業者から提案されるというのはなぁ。