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2012年7月

成年後見と産業

 経済産業省の「後見・信託事業に関する検討」調査事業の実施報告がウェブサイトで公表されています。

 http://www.shimin-kouken.jp/materials/meti_23.html

 成年後見制度は、判断能力が不十分な人が自分一人で自分の権利を守れない場合に、支援者を付けることで不当に権利が侵害されないように、さらにはより質の高い暮らしができるようにするための権利擁護システムと理解しています。

 なので、経産省、文字通り経済と産業のことを担う省が、なぜに成年後見制度?と思ってしまいます。

 この報告書を読むと、認知症高齢者などが増えてきちんと必要な物やサービスを購入しなければ、経済の停滞を招いてしまう、だから認知症高齢者等にお金を使わせるためには成年後見制度は大切だ、ということのように読み取りました。もしかして穿っているでしょうか?

 これからの超高齢社会をにらんで、成年後見制度は重要なシステムであるという点では共通するのだけれど、その背後にある動機にはちょっと違和感を感じます。

 ちなみに経産省では、老い支度と死後の場面を併せて「ライフエンディング・ステージ」と呼び、「ライフエンディング産業」の構築を提唱しています。

 http://www.meti.go.jp/press/2011/08/20110810002/20110810002.html

 私たちが提案している「任意後見契約+死後事務等委任契約」もこの「産業」の中に含まれている気がして、あまり居心地がよくありません。もちろん我々も無償で何かをお引き受けすることはなく、報酬はちゃんといただくことが前提ですので、キレイ事を言うつもりはありませんが、「産業」となると利潤追求が第一で、「依頼者の役に立ってこそ」という点が置き去りにされてしまいそうで・・・

 そんなことにならないように、経産省として適正な方向性を示していくということなのでしょうけど、ともかく、そう簡単に納得できない二つの報告書なのでした。

 最近は「終活」という言葉もあるそうですね。そうしたことを一人一人が真面目に考えられるのには大賛成ですが、業者から提案されるというのはなぁ。

アイリッシュカレーよ、いずこに

 ホミック通信Vol.15「北浜ランチ事情」http://www.homik.com/journal/index.htmlで紹介していたアイリッシュカレーのお店が忽然と姿を消していました

 テイクアウトは、あらかじめ電話でお願いしておくと、歩いて取りに行ったらちょうど袋に入れてくれている按配だったので、今日の残業ごはんに食べようと電話したら「お客様の都合でつながりません」とアナウンス・・・掛け間違いかと三度試しましたが、同じことで、我慢できずに視認しに行ったらシャッターが閉まっていました・・・

 あんなに美味しかったし、結構流行ってたと思うのになぁ・・・残念です。

 別にカレーマニアってわけではないのですが、○○上等カレーとかよりずっとずっと味わい深かった。諸行無常ということでしょうか。

下半期スタート

 2012年も下半期に入りました。懸案事項満載でなかなか苦難の折り返しです

 成年後見人としてご本人の支援をしていると、その人を取り巻く様々な人たちと関わりを持つことになります。ご家族しかり、行政担当者や、福祉サービス事業者、そして古くからの友人知人など。

 互いに仕事として関わっている関係なら距離の取り方に戸惑いはないけれど、一般市民である友人知人の方には少し難しさを感じます。

 一つは、成年後見人の立場を正確に理解されていないので、初めが肝心なのに誤解を与えてしまって、後日衝突しなければならなかったりすること。生業でのことなら衝突しても互いにドライに割り切れば良いけれど、ご本人の友人である場合には、衝突の結果疎遠にでもなったりしたらご本人に不利益になってしまいます。

 また、ご本人の情報をどこまで共有してもらっても差し支えないかという判断も難しいです。例えば、入所先をお知らせするのは、大半の場合には構わないと考えています。恐らくは、偶には顔を見せてあげよう、などと思っておられるだけなのですから。ご本人も嫌がらないと推測できます。でも病状などは、いくら親しい友人でもご本人は黙っていたかも知れないわけで・・・

 けれども、ご本人についての情報を得られるのはその友人だけだとすれば、様々な場面で関わってもらいたいという思いもあります。本人以外の第三者であるということで言えば、親族関係があろうがなかろうが同じだと思うので、家族に関わりを求める局面で、本人をよく知る友人でもいいんじゃないか、と。

 判断のファクターは、本人の利益かどうか?ということと、将来わたしがトラブルに巻き込まれないか?とことかと考えていますが、これもまた競合する場合もあったりして?

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