即効型任意後見契約を選ぶときとは?
任意後見契約には、「即効型」「移行型」「将来型」があると説明されています。
「将来型」は任意後見契約だけの場合で、将来判断能力に衰えが見られるようになって、任意後見監督人が選任されたら契約がスタートするもの、「移行型」は財産管理等委任契約+任意後見契約を締結して、判断能力が衰える前から支援を行うものです。
「即効型」は、任意後見契約を締結してすぐに任意後見監督人選任申し立てをするものです。
任意後見契約を締結するには、当然のことながら相応の意思能力を必要とします。一方で、任意後見監督人選任は判断能力の衰えていることが要件となりますので、即効型というのは矛盾を孕んでいるとも言えるし、即効型があり得るとすれば非常に稀なケースであるだろうということが言えると思います。
任意後見は、自分で自分の人生をマネジメントすることを実現するシステムだと考えていますので、即効型程度に能力ダウンが見られるのであれば任意後見の良さを生かすことはあまり期待できないように思われます。ご本人が自分には支援者が必要だと思っておられるなら、任意後見で進めるよりも「補助申立て」を検討するほうが適当だと考えます。任意後見では任意後見人+任意後見監督人の二人分の報酬が必要となりますが、補助なら補助人の報酬だけで足りるというのも、その理由の一つです。
昨日の研修でもしつこく言ってしまったことですが、任意後見は気力体力が充実している間に検討を始めて、自身にとってぴったりの受任者を見つけて、残りの人生の幸せに役立ててこそその有用性が発揮されるので、急ごしらえで利用するのは消極的になります。