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2011年7月

成年後見監督人の届け出

 最近、メガバンクから、成年後見監督人として印鑑証明書と実印の押印を求められました。親族である成年後見人が、取引支店へ後見人としての届け出に行った際のことです。

 まず、民法第849条の2で、家庭裁判所は必要があると認めるときは成年後見監督人を選任できる、とあり、親族後見人が選任された場合などに、我々専門職が監督人に選ばれるケースがあります。

 民法第864条では、後見人が民法第13条第1項の行為を行う場合には、後見監督人が選任されているときは監督人の同意を得なければならない、と定められています。但し、元本の領収についてはこの限りでない、となっています。

 さて、監督人の実印押印と印鑑証明書を求めた銀行の言い分は、要約すると、元本の領収(預金の引き出し)以外の、総合口座貸越や投資信託取引があり得るので、それについては監督人の同意が必要だ、だから同意した旨の届け出を求めている、ということです。

 ということは、その届け出書に署名押印してしまうと、監督人として将来の取引について包括的に同意したことになって、後見人はフリーハンドで貸越や投信購入ができることになってしまいます。そんなことでは家裁が監督人を選任した意味がなくなるし、こちらとしても職責を果たすことができません。

 と言うわけで、「監督人として包括的同意を与えるなどできないことはご理解いただけると思います。現に他の金融機関ではこのようなことは求められていないし必要とは考えにくい。」と言ったところ、本部への照会の上、監督人の届け出不要との回答がありました。

 銀行としては、自己の取引が無効にならないようにとの純粋な防衛策だったのでしょうが、もう少し、制度の趣旨とか顧客の利便性とかも考慮して、利用者に過重な負担を強いないシステム設計してもらいたいものです。

成年後見の資格

 早いもので、7月最終週に突入しました。震災後、部分的にですが、時間が止まったような気がします。この国はどうなってしまうのか、と不安でたまらず、現実から目を背けていることに原因があるように思えます。被災地で前を向いて頑張っている人たちがいるのに、こんなことではいけないのでしょうが、直接的に努力して成果を確かめられることがないだけに、悪い状況ばかりが目につきます。

 と、愚痴をこぼしてばかりではいけません。もちろん、時間がきちんと進んでいる部分もあって、ちゃんとするべきこともしているつもりです。

 金曜日には、地元の地域包括支援センターへ、成年後見説明会に行って来ました。話し終わって、一人の高齢女性に声をかけられました。「成年後見にも資格がいるんですね」と。あらっ!第三者後見人が増えたことをお話しした時に、後見人には特に資格は必要ないと言わなかったから誤解させてしまったわ!と焦ったのですが、この女性は別のことを仰っていました。「主人は認知症が始まっているから成年後見人を付けてもらえる資格があるけど、わたしは無理なんですね」。ちょっとホッとして、お答えしました。

 「そのような場合には任意後見契約を検討してみてください。」女性は、地域包括の相談員からもそのように助言されているとのことでしたが、今一つ具体的なイメージが掴めない様子でした。法定後見の方は利用者もかなり増えましたが、任意後見契約の利用者はそうそう身近にいないでしょうし、相談員もなかなか具体的に説明できないのだろうと思料します。

 以前、リーガルサポートおおさかで、任意後見契約を締結した方のインタビュービデオを作って、説明会で流したことがあります。いろいろな工夫で、利用者からの使い勝手を予備軍の方々に伝えることができればいいのに、と思います。

ナツ全開♪

 かつてNTTが分割民営化されたとき株式ブームが起こり、それからNHKニュースでも株価や為替レートを伝えるようになったと記憶しています。

 また、いつの頃からか、春先の天気予報では花粉情報も扱うようになりました。

 そして今や、「でんき予報」です。何だか変化に乏しい内容ですけれど、注意喚起になっているのでしょう。節電しなくちゃ、という気になります。わたしも午後からはノートパソコンの電源を抜いて、バッテリーで駆動させています。で、夕方から再び充電始めるつもり

 阪神百貨店の地下に新しくできた「ニューミュンヘン」の売り場、阿波乙女鶏の唐揚げを買おうと思ったら、すんごい行列ができていました。お店に行かなくっても食べられる♪と喜んでいたら・・・あれは、鶏の唐揚げの王様です。ビールにぴったりなのです。

 台風が去って、ムシムシして来ました。過ごしやすい夜も二日限りか・・・

借金完済間近?

 ちょっと遅くまで聞し召して帰ってみると、阪神勝ってますやん

 そして残ったアルコールのせいか、明け方目が覚めてテレビをつけてみると、なでしこジャパンがカッコいい試合をしてるじゃないですか!

 なかなか気分の良い朝でした。ブラゼルの好守備のシーン見たかったなぁ。結果しか知らないので・・・

遺産分割での生命保険金の取り扱い

 「受取人に指定されていたのなら、生命保険金は相続財産には入りませんよ。だからそれを除いて、遺産に法定相続分を掛けて考えれば良いです。」

 つい先日、特に悩むこともなくそのように発言したのですが、明日の家族法研究会の下調べで書物を繰っていたら、「生命保険金は特別受益として相続財産に持ち戻すのが相当」という趣旨の記述を見てびっくり 何か勘違いしていたっけ?と司法研修所「遺産分割事件の処理をめぐる問題」を開いても、同様に原則特別受益に該当すると書いてあります。

 何をどう勘違いして理解し覚えていたのか?自分が信じられなくなり慌てましたが、直に理由が判明しました。

 生命保険金が特別受益になるのかという揺れ動いていた論点に、最高裁の判決が出たのが平成16年10月29日。見ていた本は全てそれ以前に著された本だったのです。あー、びっくりしました。即座に古い本にシャーペンで注意書きを記入しました。

 その判決によれば、受取人に指定された保険契約に基づく死亡保険金請求権は固有の権利として取得するので、民法903条1項の持ち戻すべき財産には当たらないが、他の共同相続人との間に生ずる不公平が是認できないほど著しいという特段の事情がある場合には持ち戻しの対象とすべし、ということです。

 例えば、遺産全体と死亡保険金額の割合や、被後見人の介護に対する貢献などを勘案して、特段の事情の有無を判定することになります。

 決して間違った知識を定着させていたわけじゃないことが分かってホッとしましたが、できれば結論に至る経緯・沿革も頭に残っていれば、こんなに焦ることなかったのに

「家庭裁判所における成年後見・財産管理の実務」

 日本加除出版より注文していた本が届きました。「家庭裁判所における成年後見・財産管理の実務」です。著者4名は判事や書記官・調査官です。

 帯のフレーズが泣かせます。

 「誰かのために財産を守り抜く」その重責に寄り添う待望の一冊!

 だそうです。一人じゃないって思えますね

 中身は、パラパラっと見た限りですが、なかなか実務に入り込んだ記述があって、とても参考になりそうです。

指定していた遺言執行者が欠けた場合

 相続に関するNPO法人のセミナー開催案内が送られてきた。弁護士名だった。こういう感じでつるむのって、どうも抵抗があるんですが、時代に乗り遅れてますかね?

 遺言で指定されていた執行者が相続開始時に欠けていたら、起こりうるのは、遺言者より先に死亡していたり執行能力を喪失していた場合だと思うのですが、誰が執行するのでしょうか?遺言に、「執行者が欠けた場合には○○が指定する」などの補充規定があればそれに従うのでしょうが。

 執行者の指定がなかったこととなって、相続人の遺産処分権限も復活するのでしょうか?

 それとも、相続人による処分はあくまでも無効であり、指定された執行者が欠けていることを示して、執行者選任申立てをしなくてはならないのでしょうか?相続人の行為の有効性に関わる問題なので、気になります。

失踪宣告申立て

 東京家裁に失踪宣告の申し立てをしています。被後見人が亡くなって、遺産の引き継ぎをしたいのですが、戸籍上唯一の相続人は生きていれば120歳を超える母親。紆余曲折を経て、遺産引き継ぎ義務を負うわたしが利害関係人としてこの母親の失踪宣告を申し立てたのです。

 東京家裁に申し立てたのは、最後の住所地が不明なためです。戸籍の附票には住所が記載されていないのです。

 この申立ての結果、母親が被後見人の死亡日よりも以前に死亡していたとみなされたなら(その公算が高いようです)、相続人不存在となるので、今度は相続財産管理人選任申立てをすることになります。

 普通失踪は6カ月以上の公示催告が必要(家事審判規則第40条)なので、後見人であった者としての事務管理はまだまだ続きます。正直言ってこれは負担です。報酬の対象にもなりません。本来であれば、行方の分からない母親について正当な権限を有する不在者財産管理人を選任すべきと考えますが、大阪家裁の財産管理係ではこの考え方は受け入れられないようでした。

 いつ、どのように遺産の引き継ぎができるか、また報告したいと思います。そして、このような事態の場合の最適な処理方法を検討提案して行きたいと思います。

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