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停止条件付遺贈

 「妻が死んだときに」という停止条件の付いた遺贈の執行について、先輩同業者から電話が架かりました。遺言は、遺言者死亡の時に効力発生するのが原則ですが、民法985条2項によれば、停止条件が遺言者の死亡後に成就したときは、遺言は条件が成就した時から効力が発生します。さて、ではその執行は具体的にはどのように行うのが適正なのでしょうか?経験はありませんが、ちょっと調べてみました。

 普段は読み飛ばす条文、民法991条で「停止条件付の遺贈についてその条件の成否が未定である間」受遺者は遺贈義務者に対して担保を請求できる、とされています。また、民法総則で、各当事者は、条件の成否が未定の間は条件成就の場合の相手方の利益を害することはできない(128条)と規定されているので、受遺者の権利はかなり保護されていると考えられます。

 しかしながら、条件成就前は、まだ受遺者に所有権は移っていません。例えば遺贈された財産が賃貸不動産のような場合、その固定資産税は誰が払って賃料は誰が受取るのでしょうか?遺言執行の実務書にも、そんな所まで明確に書いてはいませんでした。遺言執行者がないなら相続人なのでしょうが、執行者がいたら?もしも賃料滞納があれば誰が督促を?

 遺言者の死亡と遺言効力発生との間のタイムラグ、それも長ければ長いほど、判断しづらい問題が生じてきそうです。執行者としては、相続人や受遺者の同意を取り付けながら対応していくというのが現実なのでしょうか?

 法律が、停止条件付遺贈を想定していますし、様々な事情でそのような変則的な遺言を望まれるケースもあるようです。遺言作成を支援する立場としては、できる限り希望に添えるよう努めるべきでしょうが、執行の場面までも想定して困難な問題が生じないか検討して助言することも必要でしょう。

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