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2011年2月

後見制度支援信託の利用の判断

 大雑把に言えば、成年被後見人の財産を保護するために、日常不要と思われる金融資産は信託銀行に預け替えするのが後見制度支援信託と理解していますが、そのスキームを利用するのが適切と判断するのは誰なのでしょうか?

 信託契約をするために、後見開始の当初だけ司法書士や弁護士を選任する予定と聞いていますから、まず後見開始と同時に家裁が判断するのでしょう。しかし、実際に信託契約をするのは専門職後見人です。ご本人の財産や生活状況など、後見開始後に判明する情報もたくさんある、というか、結局のところ申立時の情報は一部に過ぎないのが現状なので、後見開始後に後見人である専門職が、決して後見制度支援信託の利用が適切とは考えない場合も生じるのではないでしょうか?

 そんな場合には理由を説明し、当初の目論見とは異なるスキームで後見業務を行う余地はあるのでしょうか?当然、後見人の判断を尊重してもらいたいものだと考えますが。

停止条件付遺贈

 「妻が死んだときに」という停止条件の付いた遺贈の執行について、先輩同業者から電話が架かりました。遺言は、遺言者死亡の時に効力発生するのが原則ですが、民法985条2項によれば、停止条件が遺言者の死亡後に成就したときは、遺言は条件が成就した時から効力が発生します。さて、ではその執行は具体的にはどのように行うのが適正なのでしょうか?経験はありませんが、ちょっと調べてみました。

 普段は読み飛ばす条文、民法991条で「停止条件付の遺贈についてその条件の成否が未定である間」受遺者は遺贈義務者に対して担保を請求できる、とされています。また、民法総則で、各当事者は、条件の成否が未定の間は条件成就の場合の相手方の利益を害することはできない(128条)と規定されているので、受遺者の権利はかなり保護されていると考えられます。

 しかしながら、条件成就前は、まだ受遺者に所有権は移っていません。例えば遺贈された財産が賃貸不動産のような場合、その固定資産税は誰が払って賃料は誰が受取るのでしょうか?遺言執行の実務書にも、そんな所まで明確に書いてはいませんでした。遺言執行者がないなら相続人なのでしょうが、執行者がいたら?もしも賃料滞納があれば誰が督促を?

 遺言者の死亡と遺言効力発生との間のタイムラグ、それも長ければ長いほど、判断しづらい問題が生じてきそうです。執行者としては、相続人や受遺者の同意を取り付けながら対応していくというのが現実なのでしょうか?

 法律が、停止条件付遺贈を想定していますし、様々な事情でそのような変則的な遺言を望まれるケースもあるようです。遺言作成を支援する立場としては、できる限り希望に添えるよう努めるべきでしょうが、執行の場面までも想定して困難な問題が生じないか検討して助言することも必要でしょう。

「ロイヤル」が大事!

 体調を復活させてくれた「活蓼28」ですが、名前に「ロイヤル」が付いていたことが発覚しました。高麗人参のエキスが非ロイヤルの二倍入っているそうで、もちろん効き目もかなり違うのでしょう。即効性があったはずです

 ついでにネットで価格もチェックしたら、すごい高級品!差し入れてくれた先輩には当分生意気言えないです。

「相続させる旨」の遺言は代襲しない

 もうすぐ最高裁の判断がなされると聞いていた標記の件。本日、判決が下りたそうです。

 http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819695E0E0E2E29C8DE0E0E2E0E0E2E3E39180E2E2E2E2?n_cid=DSANY001

 自分の子の一人に全財産を相続させる、と遺言していたところ、その子が自分よりも先に死んでしまった場合です。

 法定相続であれば、相続人である子が先に死んでしまえば、子の子=孫が代わって相続を受けることができるのが民法887条の規定で「代襲相続」と言います。しかし、遺贈では、受遺者が先に死亡すれば、その遺贈は効力を生じません。民法994条です。

 そこで、「相続させる旨」の遺言でもらうはずだった相続人が先に死んだ場合はどっちの規定が適用されるのか?ずっとはっきりしていなかったのですが、これで一応の決着が付いたということなのでしょう。そう考えるべきであるなら、そのつもりで遺言を作成される方に助言するということになります。

 「相続させる旨」の遺言は、遺産分割協議のように取り扱ったり、この代襲の論点のように遺贈のように取り扱ったり、性格がはっきりしない点があまり望ましい遺言とは思えなくなって来ました。勉強するようになってから。以前はさして疑問を抱いていませんでしたが。

 少し前、新任の公証人に「相続人に対する遺贈」を持ちかけると、「相続人へは相続させる旨の遺言です」と、それしか出来ないように言われて唖然としてしまいました。それくらい、相続させる旨の遺言はポピュラーではあるのです。

後見制度支援信託 続報

 あまりやばいことを書くなよ~、とハラハラしている先輩の顔が目に浮かびます。なぜなら、リーガルサポートはまだ意見を発表していないからです。

 日弁連は要望書を公表したようです。

 http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/report/110210_2.html

 成年被後見人の資産の安全確保と、本人の生活の質向上のためにお金を使うという考え方(これは制度の理念であると理解しています)との、調整の問題であると、わたしは捉えています。本人の資産を流用するのを封じ込めることができるのかも知れませんが、方法としてはかなり大胆、反対に有意義にお金を使うこともやりにくくなってしまうような気がします。

 3月に入ると、日弁連、大阪弁護士会、でそれぞれシンポジウムが開催され、リーガルサポートの司法書士も登壇することになりました。その頃には、リーガルサポートの意見というか要望もまとめられて公になるでしょう。

 実際にこのスキーム利用が相当と判断されるケースはどれくらいの割合になるとの心積もりなのか?家裁にはぜひお聞きしたいです。

なめこと絹ごし

 以前から、味噌汁の具で大好きなのは、「なめこと絹ごし豆腐」と言い続けて来ました。世間様に対して。でも、あんまり賛同を得られたことはなく、先週「活蓼28」を差し入れて下さった先輩からも、数年前に「想像が付かん」と言い放たれたものです。

 が、しかし。先週博多に出張した際、地元の先輩同業者が連れて行ってくれた老舗こだわりお鮨屋さんの赤だしは、まさにその組み合わせでした。嬉しかった♪

 わたしこの組み合わせのお味噌汁大好きなんです、と言うと、先輩も共感してくれ、「わたしもよ。それにコウトウねぎをたっぷり入れてね」とのこと。そのお椀にも細いネギの小口切りが入っていましたが、それを「高等ねぎ」と言うらしいです。

 風邪が治りきっていなかったので、お魚の風味を十分に感じ取れたかいささか不安ですが、ともかくとっても美味しく風情のあるお店でした。そして、わたしの味噌汁の趣味が悪くはないこともようやく確かめることができました。

遺言の検認

 自筆証書遺言は、というか公正証書遺言以外は、遺言者の死亡後に家庭裁判所の「検認」を受けなくてはなりません。民法1004条です。

 検認の請求は家事審判法の甲類事件で、紛争性はなく、司法書士もよく書類作成をしますが、代理人にはなれないので検認の現場に立ち会うことはありません。しかし、この度、成年被後見人が相続人であるケースで遺言の検認が必要となり、わたしは法定代理人として検認手続きに立ち会いました。

 まず、家庭裁判所の審判官が検認手続の法的な意味を説明されます。要は、検認手続は遺言の状態などを確認するものであり、遺言の有効無効についての判断ではなく、それを確認したいのであれば地方裁判所へ提訴する必要があるというようなことです。

 そして、次に、その遺言を保管していたのか?発見したのか?これまでの保管の状況は?などを順次尋ねられ、遺言の文字が遺言者の文字であると思うかどうか?押してある印鑑が遺言者が使用していたものと思うかどうか?などの質問を受けました。

 わたしは遺言者と会ったこともないので、そのままに「知りません」と答えました。

 つつがなく終了して、恐らく30分掛からなかったと思います。

 ちなみに、相続関係を証明する戸籍や除籍謄本を提出しなければなりませんが、他でも使用したいので返却して欲しい旨を上申すれば、返してくれます。但し、全てのコピーはこちらでして行かなくてはなりません。

活蓼28

 20日ほどずっと体調を崩していて、最初は耳鳴りとふらつきだったのが、風邪っぽさ、特に鼻づまりと咳になり、かなりの会議を欠席するなどした上、病院で薬を貰ってゴロゴロし仕事を先送りにして来たものの、一進一退状態でした。

 しかし、ついに復調の予感 いつまでも鼻声のわたしを見かねた先輩が「活蓼28」というドリンク剤というか第三類医薬品を差し入れて下さったのです 娘さんの風邪にも効いたとのことで、本当にすっごいいい感じです。飲みにくいかもと言われましたが、元々漢方薬など飲んでいるので、全然OKな味でした。

 紅蓼という高品質の高麗人参が主成分だそうです。ネットでも色々と紹介されていましたので、知る人ぞ知る商品なのでしょうか?春を前にようやくエンジンが掛けられそうで、有難いことです。

 このぐったりうんざりした期間、やはり年齢を感じました こうなったのも、1月下旬に少し無理をしたから。原因は分かっているのです。自分をよく知り、セルフコントロールをしないと、立派な社会人とは言えないですね

 そして、健康の有難いこと。当たり前のように享受してしまいがちですが、再認識いたしました。鼻が詰まって寝たら、あんなに苦しいものだとは!

八百長とバックマージン

 なかなか刺激的なタイトルです。大胆です

 大相撲の問題がやたらとニュース番組の時間を占有しています。別に怒りもないし、何を今更っていう感想なので、取り扱いが大げさすぎるように思われます。かなり一般的な感覚だと思うのですが・・・

 しかし、お相撲さんがみんな八百長をやっていたのかどうなのか、については野次馬根性で知りたい気もします。テレビに出てくるお相撲さんは皆、「残念」「悔しい」「あってはならないこと」と言っているけれど、八百長は一人ではできないし、二人でもその取組はそうそうないだろうし、やはりそれなりの参加人数がいないと成立しないと思うのです。ともかく実態は、内部にいてもなかなか把握できないことなのでしょう。

 そんなことを、我が業界に重ねて考えてみました。

 我が業界では、例えば不動産業者などにバックマージンを支払って仕事の依頼を請けることを「不当誘致」として、やってはいけないことに挙げています。けれども、バックマージンを払っている同業者がいることは周知の事実です。不動産業者から「他の先生は払ってくれますけど」などと言われた、補助者時代の勤務先のボスが払っていた、などの話は沢山あります。

 だからと言って、皆がこぞって不当に誘致しているかというと、決してそうではなくって、やってない人の方が大多数です、多分。

 また、不当誘致をしている人を取り締まりたくっても、当局(大阪司法書士会)で確たる証拠を得られないので、分かっちゃいるのに手を出せず忸怩たる思いを抱えているのだと思われます。って言うか、そんな話も良く聞きます。

 と考えてみると、相撲協会の幹部の人達は、全部か一部かは分かりませんが、ようやく証拠が掴めたので業界の病巣に手を突っ込める、と喜んでいるところなのかも知れません。

 春場所が開催されないとなると、大阪でも影響を受ける人が出てくるのでしょう。そういう意味では、無関心と言ってられません。お金は天下の回り物。大阪でお金が落ちてこそ、いずれは当事務所にも回ってくるのでしょうから。

後見制度支援信託

 ついにベールを脱いだ「後見制度支援信託」。信託協会が発表したので、ニュースになりました。 http://www.jiji.com/jc/c?g=ind_30&k=2011020300907

 昨年から関係者間で僅かな情報の下、その是非について意見が交わされていました。このスキームにおいては、後見事務初期の信託契約時に司法書士と弁護士が活用される予定になっているそうです。

 被後見人の財産を確実に護るために編み出されたスキームだそうです。

 この制度適用となった場合には、それまで預けていた金融機関の預貯金を解約して、信託銀行に移し変えることになります。随分多額のお金が信託銀行に移動することになるのでしょうね。普通銀行は平気なのでしょうか?

 信託銀行の報酬がまだ見えてきませんし、臨時支出の際の必要性の判断が家裁の裁量となると個人の資産が完全に国家に管理されることになってしまうことに危惧を持ちます。

 専門職が後見人に就いた場合の報酬が高額だから、という記事も読みました。確かに、事務量に比して高いケースもあるのは事実と思われます。保有財産額だけで報酬算定をする弊害でしょう。専門職の報酬を再考することも必要かも知れません。

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