任意後見の債務不履行
わたしが締結している任意後見契約では、常に「月に一度、受任者は、委任者の生活の拠点を訪問し・・・」ということを定めています。最低月に一度は訪問して、ご本人の心身や生活の状況を確認するためです。
法定後見においても、ご本人を訪ねてこの目で状況を確かめ、何か後見人として対処すべきことがないか確認することは必要ですが、その頻度については特段定めはありません。以前、大阪弁護士会のシンポジウムで大阪家裁の裁判官が「月に一度は訪問してもらうことが望ましい・・・」という趣旨の発言をされたことがあります。けれど、それが広く専門職後見人の間で励行されているとは考え難く、また、訪問回数の多寡が報酬に影響を与えているということもなさそうです。
要するに、法定後見においては、ご本人の状況確認の頻度やその方法(直接か間接か)において、後見人に任されているのです。
けれど、任意後見は契約であるため、そこに定められていれば、履行を怠ると債務不履行となってしまいます。ペナルティの有無に関わらず、任意後見が発効していれば即ち委任者の判断能力が減退しているので、委任者として契約履行については厳格にせねばならないと考えています。要は、7月中に一度も訪問していないから、8月に二度行けば良いってもんじゃないだろう、ということです。もちろん、任意後見監督人の目は光っているのですけれど。
一方、見守りや任意代理契約に基づいてご本人を訪問する場合には、ご本人の都合とこちらのスケジュールが合わなかったりすると、両者合議の上その月だけ契約条項を変更し(書面化などしませんが)、翌月に順延するなどしても構わないと考えています。