登記をなめては困ります!
海千山千の不動産業者さんはいろんなことを画策して、登記についての意見を我々に聞いてこられます。司法書士ならみんな経験のあることでしょう。
よくある話が、「この不動産入手のために真実にお金を出したのはA氏なのだけれど、色々な事情があるので、不動産の名義はB氏にしておきたい。でも、いざという時にA氏の権利を保全するためにどんな登記をしたら良いか?」という類のものです。
これってとても矛盾した話だと思うのです。B氏の名前を借りようとする時点で、登記を便法としか思っておらず軽んじています。一方で、A氏の財産権を守るための正当な手段としての登記を求めているのです。
基本的に、そんな都合のいい話はありませんよ、というスタンスで描いた絵をお聞きします。
日本の不動産登記には公信力はない=登記を信じたからと言って常に保護されるわけではない、というのが原則ですが、上記のA氏とB氏のように互いに承知して虚偽名義にした場合に、それを信じて取引した第三者の権利は保護されます。つまりB氏が自分名義であることを利用して、第三者にその不動産を売った場合などです。仮の名義にするというのはリスクの塊と言うしかありません。
実際の相談は、複数の当事者の利害を調整した複雑怪奇な絵であることが多く、そんなややこしいことをして、尚且つ万全のリスクヘッジなんてあるはずないと思うのです。そもそも登記を道具のように扱われると、細心の注意を払って神経を消耗して不動産決済に臨んでいる立場からすると、腹立たしいことこの上ないのですが、そんなことないでしょうか?
最近そんなことが続いたので、日頃の鬱憤を晴らしてみました そんな青臭いこと言わずに、もっと頭を使えばいいスキームが生まれるのでしょうかね?でもつい、策士策に溺れる、って言葉を思い出してしまうのです。