遺言執行者の本人確認
一昨日の記事で「続きは明日」として締めくくったのに、昨日は思いがけず多忙で、記事を書く間がありませんでした。
さて、清算型の遺言で、執行者が不動産を換価する際の登記申請の問題でした。まず、①法定相続人名義に相続登記をして、次に②執行者が買主への所有権移転登記をするのですが、②の登記申請に添付できる登記識別情報がない!ために、売主側の本人確認をしなくてはならない!けれども、名義人である法定相続人全員を本人確認するのか、遺言執行者を本人確認をすれば足りるのか?という問題です。
わたしは遺言執行者でよい、と考えたのですが、少数派でした。その時に、理由として思いついたのは、民法第1015条「遺言執行者は、相続人の代理人とみなす」でしたが、今一つ説得力に欠けていたようです。遺言に基づき(必ずしも遺言で指定されたとは限らないけれど)執行者に就任しているので法定代理人ではないから、というのが反論でした。
しかし、1012条、1013条を持ち出せばどうでしょう?要するに、その不動産の処分権限は執行者に帰属するのです。不動産名義が相続人であれ実体的権限は執行者にある、そして、不動産登記もそれを前提として、登記義務者としての印鑑証明書は現に執行者のものを求めているではありませんか。
登記義務者の印鑑証明書は執行者のものだが、本人確認は名義人たる相続人。ってそんな整合性のないことはないと思うのです。
また、このようなケースで法定相続人全員が気持ちよく不動産登記に協力するとは考えにくく、もしもわたしの考え方が通用しないのであれば、「不動産を換価して遺贈」という遺言は事実上できなくなってしまい、その影響は『登記村』だけに止まらず、遺言の持つチカラにまで及んでしまうことになります。
そもそもこの問題の発端は、登記識別情報、人呼んで「TSJ」のせいかと、、、何かと使い勝手悪いです