家事甲類審判事件と司法書士
家庭裁判所に申し立てる事柄(「事件」といいます)は、家事審判法で甲類と乙類に分けられています。
甲類事件の特徴は、対立する相手方が存在しないこと。家庭裁判所は紛争解決を目的とせず、国の後見的作用として法律に則って事件を処理していきます。
ところで、裁判所に関わることを依頼できるのは弁護士と司法書士に限られます。家庭裁判所に関して言えば、弁護士は代理人となることができますが、司法書士は書類作成ができるだけです。
代理人と書類作成だけでは何が異なるかというと、代理人は法廷の場で依頼者に代わって発言できるのですが、書類作成は読んで字の如く書類を作成するのみで依頼者の代わりに発言することはできません。
しかしながら、家事甲類審判事件の場合、紛争の相手方はなく、手順に沿って手続を進めることが主目的であり、例えば成年後見開始の申立は甲類事件ですが、弁護士と司法書士で差が生じることはほとんどないように思われます。
申立の際に司法書士も申立人と共に調査室に入室もできますし、作成した書類の内容について説明することもできます。また家庭裁判所からの事務連絡も司法書士の事務所になされます。
そういうわけで、家事甲類事件は司法書士が受託するに適切な事件だと思われます。
他には、不在者財産管理人選任や相続財産管理人選任、相続放棄申述などが甲類事件に当たります。