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2010年4月

家事甲類審判事件と司法書士

 家庭裁判所に申し立てる事柄(「事件」といいます)は、家事審判法で甲類と乙類に分けられています。

 甲類事件の特徴は、対立する相手方が存在しないこと。家庭裁判所は紛争解決を目的とせず、国の後見的作用として法律に則って事件を処理していきます。

 ところで、裁判所に関わることを依頼できるのは弁護士と司法書士に限られます。家庭裁判所に関して言えば、弁護士は代理人となることができますが、司法書士は書類作成ができるだけです。

 代理人と書類作成だけでは何が異なるかというと、代理人は法廷の場で依頼者に代わって発言できるのですが、書類作成は読んで字の如く書類を作成するのみで依頼者の代わりに発言することはできません。

 しかしながら、家事甲類審判事件の場合、紛争の相手方はなく、手順に沿って手続を進めることが主目的であり、例えば成年後見開始の申立は甲類事件ですが、弁護士と司法書士で差が生じることはほとんどないように思われます。

 申立の際に司法書士も申立人と共に調査室に入室もできますし、作成した書類の内容について説明することもできます。また家庭裁判所からの事務連絡も司法書士の事務所になされます。

 そういうわけで、家事甲類事件は司法書士が受託するに適切な事件だと思われます。

 他には、不在者財産管理人選任や相続財産管理人選任、相続放棄申述などが甲類事件に当たります。

後見人と身元保証

 初めて後見人になった同業者の困惑の話を聞きました。

 ご本人が入所する施設から後見人に身元保証人になるよう求められた、なってはいけないと思っているが、身元保証をしてくれないのなら入所はできないと言われ困っている、という内容です。

 確かにこのような申し出はよくありますが、これまでの経験では結局施設側に理解をしてもらっています。

 まず、「身元保証人にはどのようなことを求めておられるのでしょうか?」と尋ねます。施設の用意する契約書には、身元保証人が負うべき責務が明瞭に記されていない場合が多いからです。そして、この問いに答えをもらえたことは多分なかったように思います。

 そこで、こちらから「恐らく身元保証人に期待される役割は次の三つではないかと思います」と言い、①ご本人が施設に対して負う債務についての連帯保証、②ご本人が意思表示できなくなった場合の意思決定、③退所時の手続、を挙げます。そして一つ一つをつぶしていきます。

 ①については、「わたしは職業で後見人をしているので、わたし自身の財産からご本人のために支払をするということはできません。けれども、後見人として、生じた費用はきちんと本人の財産から支払いますし、またご本人にはこちらの利用料を負担できるだけの収入または資産が十分にあります。」と言います。

 ②は、後見人が就いているのだから心配ありませんよね?と念を押します。

 ③については、別の施設に移るときには当然後見人として手続しますし、亡くなった場合には、頼れる親族の方もないので、最低限の手続は家庭裁判所の了解を得てわたしがする覚悟です、と説明しています。

 その上で、契約書に「身元保証人」と予め印字されている肩書きを横線で消して、「後見人」などと書いて署名押印しています。

 ①の支払能力について施設側が裏付けを求めてくる場合には、適切な方法で応じることがご本人の利益に適うこともあると思います。例えば年金額決定通知書を提示するなどです。取引の相手方の支払能力を確認したいという要請は、私的自治の下では当然のことと考えます。ただ、これまで何かを見せて欲しいと要望されたことはありません。ケアハウスへの入居を検討した際に、保証人を立てられないなら預金の残高証明書を出すよう要求され立腹して断った高齢女性の経験談を聞いたことがありますが。

 特別養護老人ホームの場合には、身元保証人を立てることを入所の条件としないように、と厚生労働省も求めていますので、それを抗弁に身元保証・引受を断ることも可能でしょう。

 第三者後見人としては、福祉・金融・行政の現場で、相手の土俵に上がってしまうのではなく、こちらの土俵で話しをしないと埒が明かないことが多いように思います。どうしても相手方は、こちらを親族の変形のように受け止めてしまうようです。

 但し、強硬にこちらの立場を主張しても軋轢を生むだけなのは言うまでもありません。

ナンプレ中毒拡散

 不定期に発行している事務所通信があります。「ホミック通信」というのですが、先月はナンプレに夢中になっていることを少し書きました。すると、先輩同業者やお世話になっている弁護士から「ナンプレとは何か?」とか「電車の中で解けました!」などの反響があったのですが、先日、財産管理中の女性の部屋を訪ねるとベッドの上にナンプレが!

 「ナンプレしてはるんですか?」と声を上げると、「先生がこの前送ってくれたのにあったでしょ。それでフロントにこれ何です?って聞きに言って教えてもらったんです」とのこと。そう言えば、この方にもホミック通信送っていたのだっけ。

 どうしようもなく暇なときなど、ちょうどいい時間潰しになるそうです。わたしは暇じゃなくてもやってしまうので、とても困っているのですが

 この女性を月に一度訪問するのですが、有料老人ホームに入っておられて、思い通りの食生活を送ることができないので、いつもデパ地下で夕食を仕入れて行って一緒に食べることにしています。もちろん割り勘でですから、次の訪問日を決める電話では必ず「その日の夕ごはんは欠食にしておいてくださいね」と申し上げています。ホームではなかなか食べられてない生物など、いつも喜んでおられ会話も弾み、これまでの見守り中には聞けなかった若い頃のエピソードなどもお話ししてくださいます。

 委任者と受任者の節度ある関係を保たなくてはなりませんが、打ち解けるには、一緒に食事をするというのはとても効果的だと実感しています。

春爛漫!とはいかないようで・・・

 悪口が聴こえて発奮してくれたのか、昨日のタイガースは「伝統の一戦」で大逆転勝利 すみませんでしたーっ。

 それにしても「伝統の一戦」って、どこが?というか、なんで?というのが若い人たちの感想ではないのでしょうか?40年ほど前、我が家で毎朝「おはようパーソナリティ中村鋭一です」を聴いていた頃は、間違いなく「伝統の一戦」に相応しかったですけど。その後阪神は低迷期が続いて、時折打ち上げ花火みたいに調子の良いシーズンはあるけれど、常勝チームではなくなりましたからねー。一方の巨人は、一時弱体化したものの、なりふり構わぬ補強の時期を経て、最近本当に強いチームになった感が。

 ともかく、春の間くらい野球を楽しませてもらいたいので、今日も頑張ってつかぁーさい。

 天候不順の春になっています。そのせいなのか、果物が全然美味しくありません。かんきつ類が各種出回って、ビタミンCの補給に買うのですが、どうも当たりが悪いです。スカスカだったり、味が薄かったり。冬物のクリーニングに出すのを躊躇っていると、テレビニュースの街頭インタビューでも同じことを言ってる人がチラホラいました。気持ちは衣替えしていますが、もう伊達の薄着はできませんから・・・

 本当の春はいつになるのでしょう?最も恐れるのは、春がなくって梅雨経由真夏となることですが。

今年初の甲子園球場

 金曜日、甲子園へ繰り出しました。チケットを譲り受けたためです。いつも通り阪神百貨店の地下で、巻き寿司と串カツ(どちらもビールを片手に食べられる♪)を仕入れて出陣しました。

 結果は三連敗目を喫したのですが、正直、負けて当然と思いましたよ。4番の打率が倍以上差があるんですもん。ホームラン数も。ヤクルトの4番、初めて聞く名前でしたが。

 これ以上は言いません・・・

 逆転する感じもしなかったし、そろそろ春の宵も冷えてきたので、8回裏が始まる前に帰途に着きました。その後連勝していますが、今後もあまり期待はできない気がします。覇気が伝わってこないですもの・・・

どこまでが事務員の仕事?

 昨日、テレビCMで有名な同業者が大阪弁護士会から弁護士法違反で告発されたという報道があって、大阪司法書士会も記者会見をしたそうです。どんな記者会見だったのか?テレビニュースで流されたのか?と思って、ネットで「大阪司法書士会 記者会見」と検索してみたら、なんと我がブログかトップに現れてしまいました。昨年末の東京での不祥事のことを書いた記事でした。トホホ。同業者幹部はこんなにしょっちゅうお詫びをしてるってことか、という情なさと、自己満足の不完全な記事が一人歩きしていることの居心地の悪さが、身に沁みました。

 今回の告発の理由は、無資格の事務員が金融会社との交渉をしていたというものだそうです。どこの認定司法書士事務所、弁護士事務所でも、事務員が対応する範囲はあるのだろうと思いますが、その程度が度を越しているのでしょうか?本職は何ら関与せず、極端な話、依頼者の氏名も承知せず事務員任せとなれば、専門職の仕事ぶりとして大いに問題があることは間違いないでしょうが、大量に事件処理しようとするとそれも不可避だろうと想像したりします。

 この一件、どのような顛末を迎えるのか、恐らく我々は皆注視しています。

 この度は債務整理事件について問題視されているのですが、登記などでも事務員任せのケースは結構あるように聞いています。そんな場合には、何かに抵触するのでしょうか?少なくとも、不動産売買の立会を補助者に任せると、大阪司法書士会の何かに違反するそうで、違反者を知った場合には会に通知をするよう要請がなされていますが・・・問題が広がってしまうので、もう今日はこの辺で。

過ぎたるは猶及ばざるが如し

 スカイマークエアラインに対して、国交省から業務改善勧告が出されたそうです。徹底したコストカットがなされていたという報道があり、機内での緊急事態の場合の説明を3人で行っていたものを2人に減らしたり、という例も挙げられていました。

 昨日ネット上で読んだ記事では、日航を退職した人の面接をした転職会社の担当者が、一般の会社では3人で担当する仕事を10人程度でやっていたようだ、と感想を述べていました。余裕の人員配置で人件費が嵩んでいたのでしょうか?

ハラミ?食べられない・・・

 背後のラジオから「まだハラミ食べられる?もう無理、しゃぶしゃぶに移行してる」との発言が聴こえ、思わず「ムリムリ」と答えそうになりました。先日霜の降った牛肉を食べてしばらくの間胃の消化力が低下していたので、もう当分焼肉はこりごりと身に沁みています。ラジオの相方は、「まだ焼肉食べれる自分でいたい」と奮起してましたが。

 さて、昨日の勉強会は「成年後見人の身上監護義務」についての整理と、「遺言執行者の相続人に対する報告義務」がテーマでした。前者はテーマが大きく、そう簡単に結論は得られないですねー。まだまだ実践の中で流動的な分野かな?と個人的に思っています。

 わたしの法定後見第一号の女性を特別養護老人ホームへ訪問しました。このホームは建物こそさして新しくはありませんが、職員の方々がいつも心温かく信頼の置ける施設です。大抵の場合、そのフロアの通りがかった職員にご本人の様子を尋ねるのですが、誰であっても十分な説明をしてくれます。今日は、「お誕生会の写真があるので見ていただきたかったんです」とデジカメを持ってきて、モニターで見せてくれました。三人の若い職員が入替りで本人のベッドサイドに来てくれるので、わたしも予定より長居をすることになりました。

 こんな風な職員の面会者への対応が、面会の時間を長くし、面会の頻度を上げることに繋がったりするのかな?と思ったりしました。ハードはもちろん蔑ろにはできませんが、やはりソフトやな!と感心した次第です。

花見三昧

 金曜日はうつぼ公園の夜桜、土曜日は大阪城公園、昨日は高津神社で花見をしました。と言っても、ブルーシートを敷いたわけではなく、ゆっくりと通りすがった程度です。高津神社はこの時期初めてでしたが、こじんまりとした境内全体に桜が散在していて、満開の枝が重なり合った様が見事でした。

 花見とくれば、団子がつきもの?いえいえ、わたしの場合は当然アルコールが欠かせないっという訳で、何だか週末中にからだが一回り膨れたような気がします。座っているのさえ苦しいのはどういうわけでしょう

 今日は今年度初めての家族法勉強会。欠席通知が相次いでいますが、せっかく発表者の準備も整っていることですし、予定通り敢行します。勉強の結果報告はまた明日。

かわいいウソ

 昨日はどんなウソをつきましたか?

 わたしは仲良しに、「スカートのウエストがゆるゆるで、体重が5キロも減った!」とメールを出しました。すると「良かったね」との温かい返事。次に会うのが辛いです

今年のこぶしはどれくらい花をつける?

 阪急神戸線の駅から六甲に登り有馬温泉に下りるというコース、今でも年に数回こなしています。今の季節に楽しみなのは、山桜はもちろんですが、有馬に下りる北斜面に咲くこぶしの花。誰から手入れをされたわけでもなく、純白の花を豊かにつけている姿はたくましくもあり清清しくもあります。この花がたくさん咲く年は景気が良いと言われているそうで、そんな意味でも気になります。

 昨日は第一生命が株式上場したことが大きく報道されていました。幼なじみも第一生命の保険加入者で、ちょっとしたお小遣いをもらえるそうで、そのお金でデジタルテレビを買うと言ってました。確かに経済効果はありそうですね。

 日経平均株価も実は前年度30%超上昇していたそう。景気は底を打ったというのは本当なのでしょうか?

 よく、景気に左右されない商売だからいいね、と言われますが、とんでもない 今同業者が二人以上集まれば、仕事が暇な話ばかりです。月刊登記情報4月号にも「登記事件の絶対数の減少」のために登記所が閑散としている、との記事が載っています。登記情報のコンピュータ化やオンライン申請だけが原因ではないだろうと。

 霞を食べて生きていくわけにも行かないので、それも最近食欲が旺盛で困ってますし、やはり多少経済活動が活発化して、不動産、会社共に登記事件が増えることを期待しています。

 そんなわけでこぶしの花の咲き具合が気になっているのです。

花散らしの雨

 毎年のことですが、桜がいい感じに7,8分咲くと雨が降りますね~。週末は花見日和だとよいのですが

 新年度を迎えるにあたり、昨晩事務所の机周りに高く積み上げられた資料やら本やらを片付けました。視界が拓けました。かなりの紙類がシュレッダー行きとなりましたが、ちゃんと分類わけしてファイルに閉じてもみたり、やる気モードとなっております。ほんと、春っていいですね♪

 前回に書いた同業者向け講義の場で、初めて知ったことがあります。

 講義の準備中に、公正証書遺言の場合には原本が公証役場に保管されているので、謄本を手に入れることは容易だけれど、自筆証書遺言は1部しかないのだからそれを紛失・破損したりできないなと思いあたって、そんな心配をポロッと講義中に話したら、検認を受けた自筆証書遺言は家庭裁判所が検認調書謄本を作成してくれるので大丈夫だそうです。

 なるほど。

 なぜそんなことが気になったかと言うと、「相続させる旨」の遺言では遺産は相続開始と同時に受益相続人に権利が移転するということで執行の余地がないとされているので、不動産の相続登記は執行者は関与しません。一方不動産を貰った受益相続人が、自分のために相続登記をしようとすると遺言書が必要となります。で、執行者として遺言書を貸し出したけど返してくれなかったら困るなー、と思っていたのです。場合によっては、受益相続人にとって好ましくない遺言ということもあり得ると思って。不動産は貰えたけど、実は他に多額の財産があってそれは慈善団体に遺贈されているとか。

 けれど、自筆証書遺言でも謄本が手に入れられるのであれば、執行者としては受益相続人に対し、家庭裁判所に検認調書謄本を申請するよう言えばよいということになりますね。

 講師をするというのは恥をかきに行くようなものですが、その報酬は有形無形問わずたくさんあります。

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