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親族後見人

 親族が後見人になる割合は年々下がっているようで、平成20年の統計で7割弱です。都市部ではさらに数字は低いようです。

 しかしそうは言っても、成年後見制度を支えているのは親族であることに変わりありません。成年後見の支援が必要な方がいれば、行政はまず親族に申立をするよう持ちかけ、さらに後見人となることを打診するのでしょう。

 行政からの働きかけがなされた親族の対応としては、「申立をすることは承知するが、後見人の重責は担えない」だったり、「長年没交渉であり、関わりたくない」だったり、「何かはよく分からないけど、迷惑は掛けたくないので役所の言うとおりにしましょう」だったりすると考えられます。

 最後のタイプの親族の場合、周囲が十分に制度の説明を行っておかないと、全くの無自覚に様々な法律関係に巻き込まれていくことになって、後見人となった親族が途方に暮れてしまうケースがあります。

 地域の支援者としては、本人の権利擁護を思うばかりに、親族に連絡を取って申立の必要性を説明して了解を得、「ヤレヤレ」という気分になってしまうかも、と推測しますが、親族であっても気楽に後見人を引き受けることはできないと考えますし、それなりの覚悟を持ってもらうべきです。もちろん、後見人の職務説明の最終的な責任は家裁にあるのかな?とは思いますが、そこまで手が回っていないのが現実でしょう。

 親族後見人では荷が重いようなケースに、躊躇いなく専門職を選任できるよう、専門職後見人の受け皿をもっと大きくすることも課題でしょう。

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