特養に営業?
被後見人を訪ねて特別養護老人ホームに行ったら、顔馴染みになった相談員の男性から思わぬ質問を受けました。「後見人の報酬ってどれくらいなんですか?メリットあるんですか?」と。
趣旨は何?これまで施設関係者から受けたことのない問いだったので、少し構えてしまいましたが、よくよく聞いてみると、最近「成年後見が必要な入所者があれば当事務所へ」と司法書士が営業に来たというのです。思わず「行政書士じゃなくって?」と聞き返すと、自信なさ気でしたからはっきりしないところですが。
いずれにせよ、特別養護老人ホームに直接営業に来るとは、あまり実態を知らなさ過ぎるし理念がないな、という印象です。
成年後見の申立ては本人や親族が行うものであり、そもそも施設が主導するものではありません。特別養護老人ホームの入所契約は(どうにかして)終わっているわけで、施設側として後見人を必要として親族に促すこともあまり考えられないのです。一つ考えられるのは、身寄りのない入所者について後見人を必要とする場合ですが、こうしたケースでは市長申立てに繋ぐことになりますので、やはり施設からの「発注」はあまり想像できないのです。
また、いざ成年後見人についた場合には、利用者の代弁者として施設に対して「物申す」立場となるのですが、施設への営業活動の結果として後見人に就任したとすれば、本来の代弁者の役割をなかなか果たせない恐れがあるのです。
相談員としては、熱心な売り込みに「そんなにいい仕事なのだろうか?聞いてる話とは違うな」と感じられたとのこと。上記の話をし、「必要が生じたときは地域包括支援センターやリーガルサポートなどに相談なさるのが良いと思います」と、さりげなくリーガルの営業をしておきました。