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2009年7月

弁護士会がNHKに抗議

 大阪弁護士会が、NHKのドラマ中で行政書士が離婚の法律相談に応じていたのは弁護士法違反だとして抗議していたそうです。

http://mainichi.jp/select/today/news/20090730k0000e040044000c.html

 インターネット上を見ると、行政書士による「過払い請求」や「離婚相談」のホームページはとっても盛んでよくできています。確かに「これは本当に行政書士の仕事?」と思うものもたくさんありますが、見た人は当然行政書士の職務だと思いますよね。

 司法書士と行政書士との業際問題は、名称が似ていることからも永遠のテーマと思われます。行政書士に対する同業者の不満はよく耳にしますが、わたしは司法書士会の努力も足りないように思っています。もっと違いを率直にアピールする広報をすれば良いのに・・・下品にならないようにするのは難しいかもしれませんが、それに先立つものが少ないのが我々の悲しいところですけど

 弁護士が増え続けるこれから、職域についての資格間対立は激しくなるのでしょうね。一司法書士としては、黙々とスキルを磨いて誠実に業務するしかありませんが。

行動を制約せず

 ホームから電話があり、Yおばあちゃんがこけて頭にタンコブができ、レントゲンを撮ったら肋骨にもひびがあったとのこと。骨粗鬆症なので、ちょっとした力で骨にダメージを与えてしまうようです。

 怪我は困るけれど、だからと言って行動を制約しすぎるのも好ましくないので、十分な見守りをホームにはお願いして、ご家族にもその旨を報告をしておきました。

 胸にコルセットを巻いて対応していますが、小さな体には大き過ぎて外したくなる様子。しばらくは我慢して欲しいけど、鬱陶しいでしょうね

 先日「不親切な介護施設」という特集をワイドショーで見ました。建物にはバリアがあって、移動が楽ではなさそうです。食事も配膳されるのではなく、ビュッフェ方式で自分で取りに行くのが基本でした。その日の過ごし方は自分でプランを立て、施設内通貨で買い物も賭け事もしていました。

 過保護にしないことが、生き生きとした生活に繋がるということはあるんだろうと考えています。しかし、適度な保護の按配はなかなか難しいですね。

なぜ土下座をするのか?

 衆議院が解散された様子をニュースで見て、政治家という人種は骨の髄から「闘士」なんだな、と妙に感心してしまいました。戦うことが好きなようです。生き生きしてましたもん。

 小泉チルドレンの一人が土下座をしているシーンを見たのですが、いつも不思議です。なぜそんなに頼み込むのですか?有権者は、有権者自身のために、投票すべき候補者を選んで一票を投じるわけですよね。候補者は「わたしを選ぶことはあなたにとって利益になるんですよ、だからわたしにお入れなさいな」とアピールするのが本当じゃないんでしょうか?もちろん、議員としての仕事をしたいという候補者自身の欲求があることは間違いないから、「わたしに入れてください」とお願い口調になるのは自然なことと思いますが。

 土下座なんてされると、「わたしの利益のために、あなたの一票をわたしに入れてください」ということになりませんか?

 当選後の喜び方にも釈然としない場合があります。議員として仕事ができる環境になったわけですからホッと一段落するのはわかりますが、別にこっちは(選挙民は)あなたを満足させるために投票したわけじゃなく、自分自身のために入れたんだから、そうお礼を言われてもな、と思うわけです。

 ともかくこの夏は暑苦しくなりそうですね。投票日まで、いつになく間があるそうで、一波乱二波乱あるのではないかと訝しんでいます。

戸籍を読むのは難しい

 お年寄りが、配偶者が亡くなったので銀行預金を解約しようと手続きを始められたそうです。再婚同士だったこともあって取らなければならない戸籍が結構あったけれど、何とか取り寄せ、前婚の子のからも印鑑を押してもらって・・・

 あるメガバンクに提出したところ、数日後に電話があり「戸籍が足りません」と言われ、司法書士事務所を訪れ控えを見てもらったら確かに足りてない。慌てて追加で請求しました。

 別の地方銀行にも同じものを提出していたのだけれど、こちらからは「手続き終わりました」との連絡。不足を指摘されることはなかったそうです。

 戸籍を読み解くにはなかなか熟練した技術が必要で、これこそ司法書士の得意技です。それにしても銀行も見落とすことがあるんですねー。追加で取った戸籍から新たな相続人が発見されなかったから良かったようなものの、万一誰かいたとしたら?払い戻しに応じた銀行の責任は免れないのではないでしょうか。

特養に営業?

 被後見人を訪ねて特別養護老人ホームに行ったら、顔馴染みになった相談員の男性から思わぬ質問を受けました。「後見人の報酬ってどれくらいなんですか?メリットあるんですか?」と。

 趣旨は何?これまで施設関係者から受けたことのない問いだったので、少し構えてしまいましたが、よくよく聞いてみると、最近「成年後見が必要な入所者があれば当事務所へ」と司法書士が営業に来たというのです。思わず「行政書士じゃなくって?」と聞き返すと、自信なさ気でしたからはっきりしないところですが。

 いずれにせよ、特別養護老人ホームに直接営業に来るとは、あまり実態を知らなさ過ぎるし理念がないな、という印象です。

 成年後見の申立ては本人や親族が行うものであり、そもそも施設が主導するものではありません。特別養護老人ホームの入所契約は(どうにかして)終わっているわけで、施設側として後見人を必要として親族に促すこともあまり考えられないのです。一つ考えられるのは、身寄りのない入所者について後見人を必要とする場合ですが、こうしたケースでは市長申立てに繋ぐことになりますので、やはり施設からの「発注」はあまり想像できないのです。

 また、いざ成年後見人についた場合には、利用者の代弁者として施設に対して「物申す」立場となるのですが、施設への営業活動の結果として後見人に就任したとすれば、本来の代弁者の役割をなかなか果たせない恐れがあるのです。

 相談員としては、熱心な売り込みに「そんなにいい仕事なのだろうか?聞いてる話とは違うな」と感じられたとのこと。上記の話をし、「必要が生じたときは地域包括支援センターやリーガルサポートなどに相談なさるのが良いと思います」と、さりげなくリーガルの営業をしておきました。

贅沢な朝食

 ご自身で栽培されたという甘い桃をたくさんいただきました。週末から朝ごはんとして、少し冷やしてお皿に乗せ小さなナイフで皮をスーッとめくって頂いてます。

 超贅沢♪です。

後見人とは

 今朝の「朝ずばっ!」で「後見人」という言葉が連呼されていたので気を引かれてしまいました。森喜朗元総理は、ここ4代続けて総理大臣の後見人なんだそうです。

 後見人とは、本人が頼りない・危なっかしい・未熟なときに補佐する存在ではないのでかしら?何とまぁ、そんな総理大臣が続いてたんですか。白昼堂々公共の電波で流されるくらい、それは公知の事実なんですね。今の混乱は、何も驚くようなことではないのだと改めて納得した次第です。

親族の同意書

 セミの声で起きられる時期がやって来た、と思っていたら、今朝は目覚まし時計の不備で寝過してしまいました。クマゼミもっと頑張ってよ。

 さて、最近当ブログの検索ワードで目立つのが「後見 親族 同意書」に代表される親族の同意書についてです。戸惑いを覚えておられる方が多いのでしょうか。

 もしも、数人の親族で話し合って成年後見の申立てをすることにし、その内の一人が代表して申立人になった、というようなケースであれば、他の親族は同意書を提出すれば良いと思います。家裁の事務負担が軽減されます。

 また、一定の範囲内の親族に対しては、家裁は同意書がなければ照会を掛けますから、連絡を取れる親族(物理的、心情的含めて)には、申立ての趣旨を説明しておくとスムーズではあるでしょう。

 一定の範囲内の親族とは、推定相続人のようでもあるし、兄弟姉妹までで代襲した甥・姪は含まないようでもあります。判明している甥・姪のみ含んでいるのかもしれません。家裁によっても取り扱いが異なるようです。

 以前に、姉が申立人になった際に、推定相続人の甥・姪の同意書を家裁から求められ、その結果姪が自分で後見人をやりたいとの意思を示したため、姉もそれを受け入れたケースがありました。このちょっとした混乱は、姉が事前に甥・姪にしていたとする説明がかなり簡単なものだったことに起因するようです。

 つまるところ、申立人や照会を掛けられる親族、そして家裁、全ての効率を考えれば、協調している親族は同意書を提出すれば良いと思います。

 けれど、意見が対立していたり、単に音信不通だったり、ともかく容易に同意書を書いてくれるわけではない親族を、探し出したり、説得したりする必要はないでしょう。

いつも質問の答えは時機に遅れて見つかる

 前の記事にも書いたとおり、土曜日は大阪市成年後見支援センターの第4期市民後見人養成講座で講師をしました。

 後見人に就任後の財産管理について具体的な話をしたのですが、講義後、受講者から「家庭裁判所は、本人の財産についてどの程度の調査をするのか?」との質問がありました。

 通常、申立書中の財産目録に記載してある銀行口座や生命保険の通帳・証書の原本を確認することで終わっています、と答えると、質問者は大変意外に思われたようでした。

 かねがね、申立書作成に関わる司法書士・弁護士は、家裁がその事件についてどの団体に後見人候補者の推薦依頼をすべきか適切に判断できるよう、充実した申立書を作成すべきであると考えていたので、そのように付言をしたのですが、後から考えれば、財産の内容は、後見人の選択においてはファクターになるかもしれないけれど、後見を開始するか否かについてはファクターではないので、積極的に手間をかけて調査すべき事項にはなっていないのではないか、と答えても良かったのかも知れないと思い至りました。

 家庭裁判所の調査にはかつて驚いたことがあります。不在者財産管理人選任申立てをしたところ、ちゃんとご本人を探し出してきたのです。不在者ではなくなったので、当然取り下げ、連絡先を教えてもらい、当初の目的を達することができましたが、音信不通だった親族の方も驚いていましたねぇ。わたしが知らないだけで、日本も国民総背番号制になっているのでしょうか?FBIは失踪者のクレジットカード取引、携帯電話の通話記録、なんでもすぐ調べていますね、ドラマの中だけど。

親切な突っ張り棚メーカー

 新調した洗濯機の上に突っ張り棚を設置しようと思い、土曜日の大阪市成年後見支援センターでの実務講習の帰り、今宮駅前のホームセンターで購入しました。

 突っ張り棒好きのたぷこさんからのアドバイスに従ったわけですが、実は自分で設置するのは超久しぶり。思い返せば、10年以上前に押し入れに取り付けた時は、掛けた服が重すぎてしょっちゅう落ちていましたっけ。

 さて、自宅で早速作業に入ったところ、突っ張り棒に仮止めした固定ねじが、あらまぁなんてこと、外れてコロコロ洗濯機の向こう側に落ちてしまいました。次にお目にかかれるのは、引っ越しで洗濯機を移動させる時しかなさそうです

 己の鈍くささを呪いましたが、すぐに気を取り直し、本日メーカーに取り寄せ可能か問い合わせてみました。と、取説に記載された住所は当事務所にとっても近いじゃありませんか!

 電話口の男性は最初からとても親切で「お送りしますので住所を」と仰います。「近いので取りに行きます」というセリフも浮かんだのですが、余計に煩わしいかもと考え、お言葉に甘えることにしました。すると、何と夕方に事務所郵便受けへ直接届けてくださったのです!しまった、やはりわたしが取りに行きます、と申し出るべきでした。ごめんなさい。

 また落としたら今度は買いなおして下さい、とはpuちゃんからのお言葉です

志と事務所経営

 先日、司法書士受験生からお電話をいただきました。要は、当事務所ホームページを見て、わたしの任意後見に対する考え方に共感を抱いたので働きたい、というもの。

 売り込み文句と取ることもできるけど、きっと本当にそう感じてくれたのだと思えました。が、そう簡単に事務所の人員を増やせるほど、楽な事務所経営をしているわけじゃないんです、恥ずかしながら

 受験勉強を始めたばかりで、まだ業界の実態に触れていないのだと思うのですが、清らかに業務をやろうとすると結構大変なのです。もちろん、みんなが清らかならいいのですが・・・

 そう言えばどこかの司法書士業界についてのホームページで、司法書士が食べて行くのにしんどい都道府県で、大阪がトップに選ばれていましたっけ。

 「ぜひ来てください。なんでもお教えします♪」と力強く言える日は来るのでしょうか?

記事消失!

 昨日外出前に書いたはずの記事がアップされていないことに、さっき気が付き呆然です。

 リーガルサポート本部の医療同意検討委員会に配属されて、少し面喰っているという感想を書いたのです。

 成年後見に携わっている人はよくご存知と思いますが、成年後見人には医療行為についての同意権がないというのが、現状なんです。医療契約の代理権はあります。例えば、骨折したから治療して(レントゲン撮影も原則含む)、必要なら入院も、ということについては、法定代理人として行為できるのですが、この骨折にはボルトを入れる手術をした方が良い、となった時に、「はい、手術しても構いません」という同意を本人に代わって行うことはできないのです。

 これでは、本人にとって必要な医療行為が行われない事態が起こる、あるいは治療方法の選択が医療側の独善だけで決定されてしまう、などということを懸念して、後見人にも一定の条件の下で医療行為の同意権を付与すべきという考え方があるのです。

 しかし、終末期医療やリスクの高い治療、先端医療についての判断は属人性が極めて高いと思われるし、それを本人に代わって、本人の最大の利益をと言われても難しいな、というのが実感です。

 反対に、判断に迷うことのない医療があるとすれば(上の大腿骨頚部骨折の手術など?)、その決定につき本人以外の同意を必要としなくても良いのではないかと考えるのです。

 まぁ、現状はかなり曖昧なまま成年被後見人の医療は行われているのは事実でしょう。そこを整理するのは意味のあることかもしれません。

 医療行為の同意権がなく困惑するのは、親族ではない第三者後見人だけです。親族後見人の場合は親族として同意すればよいので。しかし、親族に果たして同意権があるのか?慣習でやってるだけのように思います。

 そもそも医療行為の同意とは何か?もっと勉強しないと、この度委員会に加入したのはわたしだけで、後のメンバーはずっと議論を続けてきたそうなので、付いて行けません

 

遺言能力の判定も難しい・・・

 このパソコンの辞書は「ユイゴン」と入力しないと変換できない。「イゴン」と入れると「囲碁」に「ん」が付いてしまう。腹立つなぁ。わたしが「囲碁」を使い過ぎたから?

 ある女性が何度も「これこれこういう理由で、こんなところに最後はお金を上げたい」と言っていたので、理由はこの方の人生を思えば大変もっともだし、適当な公益法人を探して公証役場で案文を作ってもらったら、いざ書面になると急に及び腰になってしまったことがありました。途中で何度も口頭では確認したのに

 この女性はだんだん物忘れが見られてきたので、その時が遺言を作成するならラストチャンスだと思っていたのですが、書面になった自分の遺言を見て思いが千々に乱れたということは、既に遺言能力が失われてしまっていたのかも知れません。

 遺言能力とは何か?これは個々の具体的事情に照らして判定されるもののようです。シンプルな内容と複雑な内容では、必要とされる能力にも差があります。

 公証人による遺言の研修でも、高齢者の遺言のことに触れられていました。公証人の立場で簡単に遺言能力がないと判定することは、本人の遺言する機会を奪ってしまうので適当ではないという考え方が主流であるとのことでした。

 遺言は最後の意思表示となるので、意思があるのならできる限りその機会は与えられることが望ましいと思います。遺言を利用しようとする他者の意思が働いていないかどうかが、ポイントではないでしょうか?

 成年後見が始まっていても、医師二人以上が立会い「事理を弁識する能力を欠く状態になかった」旨を付記すれば、遺言をすることができます。現実には立ち会ってくれる医師なんて稀だろうと勝手に予想していたのですが、先日友人が被後見人が遺言をしたと言っていたので、そんな医師もいるようです。

 さて、この記事の途中から「イゴン」で「遺言」が変換できるようになりました。悪口を察知したようですね

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