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包括遺贈の短所とは

 昨日の家族法勉強会で、ある遺言作成の依頼について語り合いました。兄弟が推定相続人なのだけれど、これまで何も助けてくれなかったから、一銭も渡したくない、全て地元の行政に寄付したいと仰っている方だそうです。

 そこで、「全てを市に遺贈する」と遺言すると、包括遺贈となってしまうので債務も引き受けなければならないが、市は受け取るだろうか?という意見が出ました。

 「包括遺贈」とは、遺贈する対象を遺産の全部または一部を割合で示している場合です。例えば「全財産の3分の1を大阪市に遺贈する」という記載です。「○○マンションの513号室をドラえもんに遺贈する」となっていれば、これは「特定遺贈」となり、包括遺贈とは所々で法的性質が異なります。

 包括遺贈の最大の特徴は、「包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有する」(民法990条)点です。ここから派生して、包括受遺者が遺産を貰いたくないと考えれば、その放棄は、相続人と同じく家裁への相続放棄の申述によってしなくてはなりません。

 そして、包括受遺者は相続人と同様に、被相続人(遺言者)に債務があれば、それも相続してしまうのです。

 冒頭の、市は包括遺贈を受け取るか?の疑問はここから上がって来たものです。

 確かに、法的に論ずれば(吟ずるのではなく)その懸念はあるのかもしれませんが、現実にこんな遺贈は世にたくさんあるはずだと思われます。多分、行政は貰えるものは喜んで貰うというスタンスではないかな?と予想するのですが。その是非はともかくとして。

 このような問題を避けるために、「大阪市に500万円遺贈する」と特定遺贈にすると、遺産の残りについては、相続人に引き渡さなくてはならず、相続人がいないとなれば、相続財産管理人を選任するなどという重厚な手続きが必要になってしまいます。

 結局のところ、包括遺贈の法的意味を承知した上で、過分な負担を負うことはなさそうだと、受遺者に信用してもらうしかないのだろうと考えています。債務負担のリスクがあると判断するなら、遺贈を放棄してもらうほかないでしょう。執行者に対して、債務がないことを保証せよ、などというのはお門違いだし、執行者にそんな責任はないはずです。

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