不況の足音
以前債務整理を受任していた女性から電話がありました。東大阪の町工場で働いておられるのですが、先週・今週と自宅待機になっているとのことです。お給料は手渡しなので、先週は一度それを受け取るためだけに会社に行ったそうですが、会社が暇なのにお給料を貰うのも気を遣う、と仰っていました。転職先を探そうにも、そんなところが見つかるとも思えない、との言葉に思わず相槌を打ちました。次の出社は、会社から連絡があってから、だそうです。
債務整理の間に知ったことなのですが、この町工場は従業員に手厚い経営をされていて、退職金規程も十分な内容のものが備えられていました。恐らく、簡単に従業員の生活を脅かすようなことはなさらないのだろうと思われます。
一方、大企業は所有と経営が分離しているので、従業員の生活を守るために経営者が共に耐え忍ぶ、ということにはなりにくい仕組み。取締役報酬を減額することくらいはできるでしょうけれど。巨額の内部留保は許せん!という主張をテレビで見ましたが、それにはあまり共感はできません。会社の所有者たる株主が、内部留保よりも雇用確保を優先するという意思表示をしてくれなければ、経営者はそのような判断はできないのじゃないでしょうか。けれど、小さな町工場は経営者と従業員が皆で分け合っていることを思うと、釈然としない思いは残ります。つまるところ、政治でドラスティックなことをしてくれないと!