「そうか、もう君はいないのか」
このタイトルを書店で初めて見たとき、伴侶を喪って蕭然した様が直截的に伝わってきて、私事ですが、我が家も母が先に亡くなって父の痛手はかなり深かったので父の心情にも思いを致して、鼻の奥がつーんとしました。昨日ドラマを放映していましたね、観てないのですが。
同じく城山三郎の「粗にして野だが卑ではない」も、中学生の頃、塾の先生から「雑草のよう」と評されたトラウマのせいか、目指すべき境地として印象深いタイトルです。この人は核心を衝いてストレートにタイトルを付けるようですね。
強烈なタイトルナンバーワンとしてパッと思い浮かぶのは「百年の孤独」でしょうか。この題名を見たら読まないわけにはいかない気がします。原語でも同じ意味なのか、それとも翻訳者の勝利なのか気になります。中身はしっちゃかめっちゃかで、何かを読み取れと言われても浅学非才の身には圧倒的な生命力以外感じることはできないのですが、面白いことは受け合いです。かの有名な焼酎も、この小説から名を頂いたのでしょうか?
タイトルは重要です。書店で客の目を引き付ける役割という意味でもそうですが、タイトルが本文と渾然一体としてこそ文学としての完成度が高まるってもんなのでしょう。