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家主になることの損得勘定

 仕事上で建物の賃貸借関係に関与することが多くありますが、その経験で得た結論は「家主なるのも考えもの」です。

 かつては、「入院しててもお金が入る、家賃収入は庶民の夢」と祭り上げていましたが、それは行儀のよい借主に入居してもらっていればこそ。一たび歯車が狂いだすと、空室状態が続く、家賃を滞納される、夜逃げされて後片付けにお金がかかる、と経済的負担は小さくなさそうです。長期家賃滞納者を追い出したくても自力救済は禁じられているので、裁判手続きを経なくてはなりませんが、やたらお金がかかります。ご承知のように借りている人の権利は結構大きいのです。一方で、家主は所有者として社会に対して責任を負っています。

 そのうちに修繕も必要になるでしょうが、家賃収益から修繕費用を積み立てていれば良いけれど、全てローンの返済や生活費に費消していたりすると、その工面にも頭が痛いところでしょう。

 だけど、借りる立場のわたしからすれば、良心的な大家さんにいてもらわなくてはならないのも事実。当事務所は立地・グレード・管理状況から、「家賃高いでしょ?」とよく聞かれるのですが、ほんとに本当に鷹揚な大家さんで、しがない司法書士事務所でも入っていられるのです。

 資金計画にある程度の余裕を持てない場合には、家主になるのはリスクが大きいなぁというのが感想です。サラリーマンでもマンションオーナーになれる、というような広告が目立った時期がありましたけれど。いつだったか「東京に賃貸マンションを一戸持っているが家賃が支払われない。自分は大阪にいるので状況も分からない。どうしたら良いか?」という若い女性から電話で相談されたことがあります。法的手続きとその費用を説明しましたが、今頃どうしたことかしら?

 投資に意欲的な人から見れば、そんなデメリットばかり見ているから飛躍できないんだよ、ということになるのかも知れませんね。

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