10月にリーガルサポートおおさかが開催した「任意後見説明会」を聴いてくださった男性弁護士が「任意後見は金持ちのためのものやな」と否定的見解を述べられていたとお聞きしました。消費者問題に詳しい方です。
そんなことありませんよ!と息巻きたいところではありますが、例えば生活保護受給者の方に、「親族がいらっしゃらないから任意後見を」と勧められるかというと、確かにそうではありません。生活保護の方が判断能力が衰えて代理人を必要とするようになれば、法定後見を開始して、後見人の報酬は保護費の対象ではありませんから「成年後見制度利用支援事業」の仕組みの中で確保するのが一般的です。この制度にも色々と要件があって使い良いとは言えませんが。
わたしは、特別にお金持ちでなくても、任意後見契約が利用できればと考えています。契約発効後の任意後見人の報酬も含めても、収支のバランスが取れていれば一番です。こういう方は、さほど貯えがなくても問題は生じないでしょう。現状の福祉サービスが維持されることを前提にしますけれども。資産の多寡は、在宅ができなくなった後の居所の選択肢の幅に影響を与えます。余裕が大きければ一時金の高い有料老人ホームも入れるけれど、少なければ一時金が不要もしくは僅少の施設を探さなくてはなりません。
元気な時には活動が盛んなので生活費がかかりがちですが、後見人が必要な状況になると、それにつれて活動も不活発になり、その分生活費が低減する傾向にあるように思えます。その代り医療費が増えると思われるかも知れませんが、わたしが関わるお年寄りで医療費が多いのは、糖尿病を患う父親ぐらいです。特別な持病がなければ、長期に亘り医療費が生活費を圧迫することもなさそうに思えます。これも今の健康保険制度が続くことが前提ですが。
以上の検討は全く綿密ではなく、わたしの経験に基づく感覚でしかありませんが、要は、60歳頃まで定職についておられ、年金に加入されていた方であれば、何とか任意後見は利用できるのではないかと考えているのです。というか、利用できるように設計しなくてはならないのじゃないかと。先の弁護士とは「お金持ち」の定義が違うのかも知れないな、と想像しています。
さらなる分析が必要かもしれませんが、歯医者さんの予約が入っているので今日は店じまいです。年に2,3回定期健診に行っています。