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任意後見契約に要する能力は?

 先日当事務所に舞い込んだ相談は、「任意後見契約が必要な方がいるので説明してあげて欲しい」というものでした。puっちゃんは、見守りから任意後見契約の流れと経費を説明できる書面を用意して、いそいそと出かけて行きました。「どうやった?」任意後見契約はどうしても相性が重要なファクターになるので気に掛かり、戻ったpuっちゃんに尋ねたところ、「どうもよく分からないんです」とのこと。それも相性のことではなく、ご本人の判断能力が。

 ご本人との会話はちゃんと成立するけれど、「お金が盗られてなくなった」とか「誰かが泥棒に入るから外出できない」などの発言があるらしいのです。老人ホームに入っておられて、個室にはちゃんと鍵もかかるのに。妄想と決めつけてはいけませんが、もしかして認知症に由来するもの?とも思われ、そうなると任意後見契約が締結できるのか、慎重に見極めなければなりません。

 遺言について、後日、遺言者が遺言した時点で十分な遺言能力があったかなかったかが裁判で争われるケースはたくさんあり、一般的に言って、遺言の内容が単純であれば要求される能力は比較的低く、遺言が複雑多岐にわたる内容であれば高い能力が必要であるとの判断のようです。任意後見契約は仕組みそのものが複雑とも言える一方、「即効型」という契約直後に任意後見監督人を選任する、すなわち少し判断能力に陰りがある、というケースも想定されているところをみると、高度な能力まで要求されていないのかも知れず、判断が難しいところです。結局のところ、もっと本人と付き合って、実情を把握してある程度自信を持てるところまで行かなくてはなりません。その間の費用負担は?そこに新たな問題も生じてきますが・・・

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