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2008年11月

締切日

 いよいよ原稿の締め切り日が到来しました。霜月はずっと休日に事務所へ出てきていましたが、実は昨日はさぼりました。今日ラストスパートを掛けるために英気を養ったのです。と体のいい口実です。

 朝、近所をウォーキングとジョギングのどっちつかずをして来たのですが、真っ青な空に黄金色の公孫樹の葉が映えていました。上ばかり見ていて自転車とぶつかりそうになってしまいました。

 明日から師走。不動産の決済の仕事がメインだった頃には12月は臨戦態勢で、自宅には冷凍食品を買い込んで遅い帰宅に備えたものですが、それも今は昔。関わっているお年寄りたちが穏やかに新年を迎えられるかが関心事になっています。事実行為は後見人の職務ではないと言っても、新しい衣類を用意したりする場合もあります。

 先月の「任意後見説明会」に参加された女性から、人を介して任意後見契約を結んで欲しいとの申し出がありました。話が分かりやすかったし、しっかりしていたとのこと。まぁ40代半ばになり、「しっかりしていそう」と褒められても何だかなぁ・・・なのですが、ともかく光栄なことです。しかし、その紹介者というのは、既にわたしが任意後見契約を結んでいる方!お二人はご近所さんで自宅に暮らしておられ、特別に親しいわけでもないそうなのですが、やはり知人同士を同時にお引き受けするというのは、情報管理の上でぎくしゃくしそうで、丁重にお断りしました。例えば、Aさんが先に体の具合が悪くなってどこかの老人ホームへ入ったら、Bさんが「Aさんどこへ入りはったんです?」とか「そこの費用はいくらぐらい?」とか興味をもたれる場合があると思うんですよね。それを、のらりくらりかわすのはしんどそうだし、わたしが答えないことでBさんが不満を持たれるかも知れませんし。法律的に言えば問題はないでしょうが、任意後見の場合は信頼関係が肝心ですから、やめておいた方が無難だと判断しました。もちろん、要請があれば、わたしから信頼できるリーガルサポート社員を紹介させていただく旨はお伝えしました。

同時履行の原則

 今日は10時から千葉県の不動産の売買決済。売主さんが「先生今から走ってくれはるんですかね?」はぁ?そんなことできるわけないじゃないですか、東京駅から総武線とやらに乗って小一時間かかる場所にあるのに。オンライン申請を利用するんですよ。

 だいたい、都銀(?)の抹消があるのに、銀行員が抹消書類を決済現場に持って来ないから、買主である会社から銀行まで移動しなくてはいけないし。本来、買主さんが売買代金支払う時には、買主さんが完全な所有権を取得できる状況になっているべきなのに、まだ抹消書類がないから完璧とは言えない。ちゃんと契約書に売主の義務として書いてあるでしょう?銀行員は「月末で動けない、その予定にしていない」とか言ってたけど、なぜその台詞が通用すると思ってるんでしょう?おまけに「先生を信用して書類をお渡しするわけだから、個人の実印を登録せよ」とまで仰られる。銀行の抹消書類は、売主さんから貸し付け金を返済してもらったら、銀行が売主さんへ渡すべきもので、司法書士が直接受け取るものではありません。信用なんかしてもらわなくて結構です 結局買主さんがその都銀(?)を信頼することになり、わたしが決済後に売主さんと銀行へ抹消書類を受領に行くことを承諾されたので、わたしもそれに従うことにしましたが、印鑑の届け出だけは断固拒否しました。自分とこの都合で、司法書士が後から書類を受け取りに出向いてるのに、なんでこっちが実印の登録(当然に印鑑証明書付き)などという過剰な負担を強いられなくちゃいけないのか、意味不明です。一昨日、銀行に書類が揃っているか確認に出向きましたが、数億円の売買です。みんな原則通りしようよ、と思いました。

 でも、そんな都銀(?)の過剰と思われる要求を、こちらが呑んで当然のような言いぶりだったのは、日ごろ同業者が銀行と対等な立場ではなく、大好物を目の前に出されたワンちゃんのような態度を取っているからにほかならず、銀行ばかりを責めることもできないと溜息をつくしかありません。

 さて、先日の二人の司法書士が連件でオンライン申請した登記。無事完了いたしましたワン

分かれのオンライン申請

 不動産登記の所有権移転と抵当権設定については、従来の書面申請ではなくオンライン申請を行うと、1件につき5000円を上限として1割の登録免許税の減税があります。ちなみに会社登記では、設立登記だけ5000円割引されます。オンライン申請は、法務省の提供する「法務省オンライン申請システム」を利用し、利用者は自分のアカウントを作成してログインします。

 今回、現金で決済する不動産売買があったのですが、当事務所は買主指定の司法書士で、売主は別の司法書士を指定しました。売主と買主が分かれるのはわりとよくある話で、通常の書面申請の場合、買主側の司法書士が売主側の司法書士が作成した申請書(住所変更や抵当権抹消)を預かって法務局へ持参して申請します。

 で、今回は、そんな分かれの登記申請をオンラインでやってしまったのです。まず、今回用に新たなアカウントを作成しておきました。ホミックと売り側事務所名を合成してアカウント名を決めました。これは予め準備します。そして当日は、売主の司法書士が自分の事務所で作成した抵当権抹消の申請書ファイルを当事務所へメモリースティックで持って来て、共同使用のアカウントからログインした「法務省オンライン申請システム」に読み込み、登記原因証明情報を添付し電子署名をします。連件申請するために、申請書送信はせずに貯めておいて、続いて当事務所が所有権移転の申請書を読み込み、同様に電子署名します。そして、二つを連件扱いで送信しました。

 同業者以外は何のこっちゃという感じですよね。添付情報は抵当権抹消分も預かって法務局へ持参しました。近い法務局なのに、5000円安く上げるために何を苦労してんねん、と思われるかも知れませんが、今後このような形態の登記申請はどんどん出てくると思うので、先方も当方も早いうちに経験したかったんです。

予測不能景気

 色々報道されているけれど、要は経済状況は真っ暗闇、ということと認識しています。来週早々に予定されていたかなり大きな不動産売買が、直前に中止になり、なるほどやはりそういう状況かと納得していたら、急遽復活するかも?と連絡が入って来ました。誰にも予測が立たない感じでしょうか?

 APECの声明で「18か月で危機を克服」と出たようですが、18カ月って1年半よ。そんな短期に無理やろ、と思う一方、そんなに長い間首をすくめてなくっちゃいけないの?とも思ってしまいます。

 ここのところ見る気にならないニュース内容が続きますね。タレントや学者が好き勝手なことを言っていて気持ち悪くなります。意見や感想を言うのはいいんですが、中途半端な情報や知識でもっともらしい語りを聞かされても・・・という気になります。それに最近は強烈な事件が起こると、被害者や加害者の学生時代の写真や文集がすぐに出てきますが、これはどういう風潮なのでしょうか?提供する人がいるんですね。提供者まで行きつく取材能力もすごいと思うけれど。家族や親族への取材も度を超えていると思うのですが、どうでしょうか?語ったことを全て報道するのならまだしも、適宜端折ってしまうから真意が曲げられることはたくさんありそうに思います。みんな取材に応じたりしなければいいのに。さいたまの事件の容疑者の父親がテレビに映っていて、その様子を見た心理学者が「冷静過ぎる」と評価していましたが、そんなこと簡単に口にするな!と思いました。そりゃ当たり障りのないことだけ言ってたんじゃ、テレビの中での存在意義を果たせないのかもしれないけど。

 これも、中途半端な情報と知識でもっともらしいことを書いていることになるのかも知れませんね。

食べ物を与えないでください・・・

 秋口の「お腹いっぱい食べない」運動が奏功して、からだが軽くなっていたのに、「たくさん食べなきゃ食事じゃない」教信者に付き合って以降、美味しい物を食べに行く機会がたまたま多かったこともあって、苦労はすべて水の泡。自分のほっぺたを内側から食べてしまいそうな膨らみ具合になってしまいました 今日こそは、と毎日思い続け、この三連休こそは、原稿書きあげと同時に軽食で済ますつもりが、打ち合わせに行った弁護士事務所でランチを誘われ、鍋焼きうどんでもと思っていたら、豪華な伊勢海老フライ定食!こんなもの目の前に出されて平らげないわけにいかないし、今日もまた満腹です。どうかわたしに食べ物を与えないで、ホントお願いします。

 ついでに、原稿完成の目標も達成できそうにありません・・・・テリー同業者曰く、そんな締切は守られないことを前提に設定しているもんやから、2週間くらいは余裕余裕とのことなので、その見解に同調することにいたします。

 このエピソードは以前にも書いたと思いますが、わたしの頬っぺたの張り具合は尋常ではないらしく、高校時代に担任の先生から「飴食ってんのか?」と問われ、会社員時代には支社長に「オマエ虫歯か?」と尋ねられています。これから忘年会シーズン。あぁ恐ろしい。

 

不満溢れる世の中

 不満や怒りや投げやりが心を占めている人が多いような気がします。どうしたらいいのでしょう?自分にできることは?と思うけれど、気が付くとわたしも苛立ちを周囲にぶつけたりしています。

 先日、これからの夢は?と聞かれ返答に困ってしまいました。具体的な目標とか、すっかり失ってしまっています。無気力なわけではないつもりですが。死ぬまでにプリンスエドワード島に行ってみたいけど、そのことを目標にしても歯を食いしばれるわけじゃないし。歯を食いしばるのは、自分の姿勢を保つ時だけのような気がします。でも、足場が悪過ぎるとどんなに頑張ったって姿勢は保てないでしょう。あまり偉そうなことを言うのは止めておきましょう。

 マイナスの考えで頭の中がいっぱいになってしまったら、どうしたら良いのでしょう?近くにそんな人がいたら?わたしなんかがいくら考えても、さしたる力があるわけじゃなし、誠実にやって行くしかないわけですよね。権力や影響力を持っている人が、もっと切実に考えてくれないと。

厄日に間違いない

 失敗を三つもしてしまいました。がっくり・・・そう言えば今朝のめざましテレビの星占いは、おとめ座最下位でしたっけ

 厄日という言葉を覚えたのは、少女時代に繰り返し読んだ赤毛のアンシリーズ「アン・ブックス」のどれかです。自分を信じられないこんな日は、お気に入りのシーンでも読んで気晴らししたいところです。好きなシーンの一つは、アンがギルバートの告白を拒絶するくだり。若気の至りですよねぇ。そのずっと後になってから、アンは自分の本当の気持ちにきづいて二人は素敵な夫婦になるのですが。賢いはずのアンが過ちを犯すところが人間的で、また、ちゃらんぽらんお気楽な友人フィリパがアンのことを大バカ呼ばわりして真っ当な感性を見せるのも印象的でした。

 でも、古い本は字が小さくて、ちょっと読みづらい。目を細めてさらにストレス溜まるかもしれません またまた安直にヘアスプレーでも観て歌って踊りますか!

遺言と成年後見説明会

 明日は、大阪産業創造館でリーガルサポートおおさか主催の「遺言と成年後見説明会」が開催されます。地下鉄の沿線案内、読売新聞朝刊、NHKラジオで広報されたそうなので、参加者数は期待できそうです。先月の「任意後見説明会」は、PRが少なくって120名程度の参加でした。

 ちなみに本日は、大阪弁護士会館で「いい遺言の日」記念の催しが行われています。11月15日で「イイイゴン」とは、なかなか良いですね。11月は「イイ」日だらけってことですね。

相続を放棄するとは

 何年も前、父が「母さんはおじいちゃんの相続を放棄したから、ナントカカントカ」と言ってましたが、私から見れば相続放棄なんかしていません。民法938条で「相続の放棄をしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない」と規定されています。家裁に申述書を提出して初めて「相続放棄」なのです。ちなみに、相続放棄をすると「初めから相続人とならなかったものとみなす」(民法939条)ことになっており、プラス財産を貰わないしマイナス財産も引き受けません。相続放棄は「自己のために相続開始があったことを知った時から3箇月以内にしなくてはならない」(民法915条)と定められており、これを熟慮期間と呼び、熟慮期間をいつから算定するかというと、被相続人死亡の時からならもちろん間違いはありませんが、被相続人の死後3カ月以上経っていても『債務があることを知った時から』3箇月以内ということで申述を受け付けられる場合があります。

 一般には、他の相続人が相続財産を受け継ぐことに同意し、自分は何ももらわなくても異議がない、という意思表示のことを「相続を放棄した」と言っておられるような気がします。父もそのことを指していたのでしょう。これは民法上の用語で言うと「遺産分割した」のです。自分の取り分はゼロ、という内容で。相続の相談に来られた方が「相続を放棄した」と仰ると、家裁での手続きが終わっているのか、と勘違いしてしまうので、聞く立場としては確認することが必要です。本当に相続放棄したのなら相続人ではありませんが、遺産分割しただけならまだ相続人だからです。

負担付遺贈の依頼

 民法1002条に負担付遺贈についての規定があります。いきなり「負担付遺贈を受けた者は」で始まることで、負担付遺贈すなわち「何か遺産を譲る代わりに何か義務を負わせる」という形の遺贈があることを示しています。

 創業者亡きあと事業を長男が継いでいて、体が不自由で働くことのできない三男がいるという家族があり、事業用の不動産の一部を所有している母親からの遺言作成の依頼です。不動産は長男に遺したいというか遺さなければならないが、三男の暮らしが気がかりなので長男が三男の生活を援助して欲しい、という希望をお持ち。まさに「負担付遺贈」そのものです。そこで、「長男に不動産を相続させる。長男は不動産を相続する負担として、三男が存命中、その生活費として月20万円ずつを毎月末日限り、三男に支払うこととする。」というような遺言を考えています。

 一点気になるのは、長男と三男の年齢差がかなりあり、長男が先に死亡する可能性が高いこと。三男の生活費負担は、長男の相続人に当然に引き継がれるのでしょうか?一部の本にそう解説しているものの、当事者たちがそのように認識しなくては意味がないので、くどくなっても「長男が三男より先に死亡した場合には、長男の相続人がその負担を負う」というような文言を入れておこうかと考えています。三男自身は、自発的な履行以外は望んでいないとのことではあるのですが。

思わぬ反響

 「ブログを読んで」と夕方電話がかかって来ました。あら、お仕事の依頼かしら?といい声を出して応対すると、「お聞きしたいことがあるので、料金のかからない範囲で教えていただきたい」とのこと。なーんだと思ったものの、お聞きすることにしたら、信託財産引継の際の登録免許税についてだそうです。普通、一般の人はそんなものに興味持たないと断言できます。いったいどんな立場の人?好奇心がうずきましたが、答えるつもりはなさそうなので、普通の声に戻して、「所有権移転の登録免許税は1000分の20のところが、売買の土地だけは租税特別措置法で1000分の10に軽減されてますよね。だから、信託財産引継の場合は原則に戻って1000分の20っていうことですよ」とブログに書いてある通りに説明しました。得心が行ったのかどうかは分からないけれど、色んな人がいますね。

これも一つの訪問スタイル

 Yおばあちゃんとは初対面の時から何だかウマが合っていました。お付き合いが始まってかれこれ5年以上、訪問は心和む時でもあります。お部屋のベッドに並んで腰かけてお話していると、なぜだかいつもあくびが出て来るのです。ミセス家計簿は「Yさんからアルファ波が出てるんじゃないですか?」と言います。まぁベッドを見ての条件反射なのかもしれませんが。

 今日も二人で並んで座っていると、Yさんの背中がベッドにだんだん倒れて行ってしまいます。座っているのがしんどいんですね、背もたれもないし。で、眠気を感じるわたしも、脚は床につけたまま上体だけベッドに横になり、顔を見合せながらお話ししました。傍から見たら、何という光景なのでしょう若いカップルの日向ぼっこ?「ここはね、みんな満足してはるんか、あんまり人の出入りがないねぇ」「Yさんも満足してはるんですか?」「満足っていうわけじゃないけど、どこ行っても一緒やわね。アハハハハ・・・」ふむ、結構シビアー。これもYさんとお話しする楽しみの一つです。生きることを明るく達観しておられます。

 さて、仲の良い弁護士事務所の事務員さんから、決済性預金口座への移行について質問のお電話をいただきました。後見事務担当だそうで、このブログを参考にしてくれているそうです。あらまぁ、面映ゆいことです。

スーパーおばあちゃん現る

 御年88歳です。一昨々年に遺言を作成したご縁で、時折事務所にスイーツを持ってお寄り下さいます。

 歯は一本抜けてるけれど残りは全部自前だそうで、結局元気の秘密はそれなのかも?と結論付けました。食欲は旺盛で、週一度のパソコン教室に通い、且つしょっちゅう出歩いているそう。前回の来所時には「これから海遊館に行くんです」と仰っていました。今日は梅田でお友達とランチの約束、本当に生活を満喫されています。あやかるためには、歯磨き励行かも知れませんね。

任意後見契約に要する能力は?

 先日当事務所に舞い込んだ相談は、「任意後見契約が必要な方がいるので説明してあげて欲しい」というものでした。puっちゃんは、見守りから任意後見契約の流れと経費を説明できる書面を用意して、いそいそと出かけて行きました。「どうやった?」任意後見契約はどうしても相性が重要なファクターになるので気に掛かり、戻ったpuっちゃんに尋ねたところ、「どうもよく分からないんです」とのこと。それも相性のことではなく、ご本人の判断能力が。

 ご本人との会話はちゃんと成立するけれど、「お金が盗られてなくなった」とか「誰かが泥棒に入るから外出できない」などの発言があるらしいのです。老人ホームに入っておられて、個室にはちゃんと鍵もかかるのに。妄想と決めつけてはいけませんが、もしかして認知症に由来するもの?とも思われ、そうなると任意後見契約が締結できるのか、慎重に見極めなければなりません。

 遺言について、後日、遺言者が遺言した時点で十分な遺言能力があったかなかったかが裁判で争われるケースはたくさんあり、一般的に言って、遺言の内容が単純であれば要求される能力は比較的低く、遺言が複雑多岐にわたる内容であれば高い能力が必要であるとの判断のようです。任意後見契約は仕組みそのものが複雑とも言える一方、「即効型」という契約直後に任意後見監督人を選任する、すなわち少し判断能力に陰りがある、というケースも想定されているところをみると、高度な能力まで要求されていないのかも知れず、判断が難しいところです。結局のところ、もっと本人と付き合って、実情を把握してある程度自信を持てるところまで行かなくてはなりません。その間の費用負担は?そこに新たな問題も生じてきますが・・・

多額の詐欺は実刑か?

 数年前、知り合いの弁護士から紹介され告訴状を作成したことがあります。罪状は詐欺。格安で土地を売ってあげると持ちかけて数千万円の手付金を受け取っていたのですが、実はその時には既に「滌除」の登記がなされていて、所有権名義人は完全な処分権は持っていなかったのです。しかし、売買契約書に添付されていた登記事項証明書のコピーからは、都合の悪い部分は切り取られていました。

 そのあたりのことを整理して書いた告訴状を依頼人が検察庁に持って行ったら、「大変分かりやすく書いてありますね」と褒められたとのこと。依頼人からそれを聞いてかなり嬉しかったです、初めて書いた告訴状だったし。まぁ商売でやってるんだから、当然と言えば当然なのですが。

 依頼者を紹介してくれた弁護士からの後日の情報で、その被告人は実刑判決を受けたそうです。5億円の詐欺を認めている小室哲哉、やはり実刑なのでしょうか。それにしても、登記事項証明書とかは相手方から提供されたものではなく、自分の側で取得して確認した方がいいですね。

「子離れできてないお父さん」

 遺産分割協議に同席しました。病気の後遺症のため施設暮らしのお父さんと、自宅で暮らす息子さんです。かなり久しぶりに対面された様子でした。お父さんが分割の代償としてお金を払うと言うと、お父さんのこれからのことを考えたらお金は貰えないという息子さん。するとお父さんは「お父さんは子離れできてないからいつまでも心配だし、お金を渡したい。お父さんが子離れできるためにもお金を受け取ってほしい」と仰いました。息子さんの気持ちを尊重しながら、自分の愛情を伝える言い回しに、傍で聞きながらウッと来てしまいました。

 本当の気持ちというのはなかなか言えないものですが、言わなくても分かるだろう、ではなく、口に出して正確に伝えなければならない時があると思います。照れくささなんて横に置いておいて、精一杯の愛情を伝えたお父さんは男らしい、と感じ入りました。

この冬初の肩ホットン

 小学校の修学旅行で、土産物屋で買った肩たたきで肩をトントンしながら参道を歩いた思い出を持つ身です。とにかく肩こりがひどいのです。ここのところのノートパソコンに向かう毎日に、寒くなってきたことも重なって、今朝の肩はガチガチ。締め付けるような痛みの緩和を願って、肩ホットンを思わす貼りました。それも贅沢にも両肩に。使い捨てカイロみたいなモノなんだと思うのですが、他にも腰ホットンとひざホットンがあって、設定温度が微妙に異なるようです。片面がシールになっていてシャツなどに貼り付けます。貼った瞬間にコリがなくなるわけではなくって、しばらくすると知らぬ間に楽になっている、翌日の朝の肩の重たさが全然違う感じです。

 近所のマッサージ屋さんも、同情のあまりいつも時間延長でほぐしてくれる哀れな肩なので、これからの季節はそんな意味でツライ時期です。肩ホットンがもう少し安ければなぁ、と思っています。求む、安売り情報!です。

四年に一度のお祭り?

 投票権があるわけでもないのに、テレビ各局大盛り上がりです。合衆国の次期大統領が誰になるかは、日本にも影響が大きくて関心が高いのは当然ですが、総選挙並みのリアルタイムな実況中継必要でしょうか?結果とその分析を後から伝えてくれれば良いような気がしますが。こんなお追従をしているから・・・と言ってしまいそう。

 考えようによっては、自分たちも早く投票をしたい、という欲求の転化なのかもしれません。今週のTVタックルでもビートたけしがそんなこと言ってました、意思表示がしたいって。三宅先生によれば、通常国会冒頭で解散らしい(政治とはそういうもんとのこと)ですからもうすくですね。

 

決済性預金へ移行しました

 被後見人のある銀行の預金が、定期も合わせると1000万円を結構超えてしまいます。メガバンクなのであまり焦ってはいなかったのですが、何かと慌ただしい今日この頃なので、金利は付かないけれど金融機関破綻時にも全額保険で保護される「決済性普通預金」に切り替えました。他の金融機関に一部を預け替えるという方法もありますが、既に複数の口座を有しているので、口座が増えて管理が煩雑になることは避けるのが妥当と判断しました。

 窓口で手続きをした際に、「一度この手続きをするともう戻せません」と注意を受けました。多いんですか?と尋ねると、しばらく前に決済性預金に変更した人は多かったが、最近は少し利率がマシになって来たので、決済性預金を解約して、再度利息の付く普通預金に預け直す人の方が多いかも?とのお話でした。

 今日は月初の火曜日なので(何で月曜ちゃうねんって?)、事務所のミーティングの日。わが業界にも不景気風が吹き始めているようなのですが、これまでの方向性で地道に進んで行くことを確認しました。これまで二年に一度は役員変更登記が必要だった株式会社が、会社法以後役員の任期を伸長したために登記が10年に一度になったことがそろそろ効いてきます、とpuっちゃんからの報告もありました。ふーむ、変化するものが生き残るのが自然界の鉄則だそうですから、当事務所も環境に合わせて変わって行かなければね

さわるな、キケン

 中三トリオの一人と福島のポルチーニへ行きました。イタリアンのバールですが、開店前に並んでおかないとせっかく行っても入れない可能性大の店。バールだから予約できません。彼女は春頃から45肩(40肩は厚かましいけど、50肩とは言いたくない)で痛がっていたのですが、朝晩が冷えるようになってからは寝ていられない程で、痛み止めの注射で何とかやり過ごしているらしいのです。ポルチーニでは、美味しい前菜や焼き立てパンをあてに白ワインを飲んでガールズトークに花を咲かせていました。「ちゃうやん、さっきも言ったやん」と興に乗ったわたしが、カウンターの左隣に座る彼女の右肩をハタくと「イタッ」とうめきます。ごめん忘れてたわ・・・でもまたしばらくすると「そうやねん、そうやねん」と右肩をハタいてしまいます。「痛いって」と訴えられましたが、45肩が治るまでは「さわるな危険」って貼り紙しといて!

 それにしても、おしゃべりしながら相手の肩をはたいてしまうって、ちょっと危険な兆候?「いつまでも夢見る女子でいよう」というキャッチコピーを電車の吊り広告で見ました。40代向けの女性誌storyです。肩をはたいている場合じゃなさそうです。

ありがたや、二回も三連休

 早いものでもう霜月。スペルの最後にeの付くアンは11月が嫌いでした。全てが灰色に見えるからだったと記憶しているのですが、同じ北半球に暮らす者として理解できます。

 でも、高温化(「温暖化」という言葉は良いイメージを喚起するから、どなたかがこう呼ぶべきと提唱していました)の昨今、樹々の色づきもこれからのようだし、今月二度も到来する三連休は、ホント行楽に打ってつけですね。月末に原稿の締め切りを迎える身にとっても、三連休サマサマです。人の秋満喫を羨ましがる余裕もなく、事務所に通い詰めて何とか格好だけはつけようと腹を括っています。

 妻の多重債務を巡って口論になり、夫が妻を死なせてしまったという事件をネットで読みました。心が痛みます。債務整理の相談者には必ず家族に打ち明けるように説諭しています。家族に言わなくったって解決できる場合もたくさんあるでしょうが、それでは相談者が多重債務に陥ってしまった問題点を改善の方向に導けないと考えるからです。お金の問題を抱えていることを家族に言えずに、傷が大きくなってしまった場合があります。言えなかった関係を打破しなければならないのではないでしょうか?また、家族がパチンコやお酒の誘惑を止める役割を果たしてくれる場合もあるでしょう。返済の督促に追われている現状を法的に解消するだけでなく、もう二度とそんなことにならないようにしてもらうためには、家族も事実を知ることが必要な場合の方が多いと思うのです。だから、司法書士の広告などで「家族に知られず解決できます」などの宣伝文句を見ると、自分の商売にさえなればいいのか!と腹が立ちます。

 数年前、親族の債務を相続してしまい、夫に内緒で返済をしていて行き詰まってしまった女性がいました。追い詰められて相談に来られた時には、夫にも知られることになって離婚の話が進んでいるということでしたが、あまりに真面目に返済していた彼女には多額の過払い金が発生していて、破産どころかかなりのお金が戻ってきたのです。後日夫婦でご挨拶に来て下さり、平穏な生活を取り戻せたと仰っていました。もちろんそれは良かったのですが、相談者が長期間(過払い金が多いということは返済が長いということです)一人で苦しんでいたことを思うと、夫婦の絆の代償として相応だったのかどうか、独り者のわたしは考え込んでしまいました。

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