遺留分の放棄
前回の家族法勉強会で、トモコ同業者が「後継ぎ遺贈」のことを発表しました。関心を持ったきっかけは、関連する相談があったことと、日経プラスの家庭六法の記事で「後継ぎ遺贈はできる」と書いてあったこと、だそうです。
「後継ぎ遺贈」とは、遺言で「全財産は○○に相続させる。○○が死んだ後は△△に遺贈する」というように、財産を受け継ぐものを先の先まで決めておくことを指しています。このような内容の遺言を有効とした判例もあるにはありますが、特殊なケースであるとも考えられ、一般的には有効性には疑問が残っています。相続が開始すれば、貰った財産は○○が自由に処分できるのであり、後段の「○○が死んだ後は△△に遺贈する」は単に遺言者の希望を記したに過ぎないという解釈の方が、しっくりきます。ただ、昨年施行された新信託法では「後継ぎ遺贈型の受益者連続信託」が認められましたので、信託を使えば、遺言者の意図を実現することはできるようです。
さて、本日の日経プラス家庭六法では、遺言と遺留分の放棄を組み合わせることで、放蕩息子に相続させないというシナリオが説明されています。親に金銭面で迷惑をかけた二男が反省して「遺留分の事前放棄」を行い、且つ親は二男には何も与えない「遺言」を書いておけば、二男は相続を受けられないというのです。
遺留分の事前放棄は家庭裁判所の審判事項です。家裁の許可を得なければならず、申し立ての1~2%が却下されているようです。記事中にも裁判例として許可されなかった事例が挙げられています。この「遺留分事前放棄の許可審判」については、民法の条文に明記はされていませんが、「取消申し立て」をすることが学説・実務ともに認められています。放棄した本人が「ただ気が変わった」というだけで取り消しは認められていない場合もあるようですが、放棄した時点とでは事情が変わったケースでは、事前放棄は取り消され、遺留分を持った相続人に戻っています。従って、実務家は、遺留分の事前放棄をしても希望が100%叶うとは言い難く、それよりも遺留分があることを前提にした遺言作成を勧めることが多いように思います。
遺留分って何?と思われた方。そのうち、説明記事を書きたいと思いますが、ネット検索してみてくださいませm(_ _)m
昨夜から、スポーツ関連番組を一切避けて通っている弱虫です。間の悪いことに、NHKでは虎とオリックスの特集番組やってたし。新聞もスポーツ欄は開けてません。直視できるのはもう少し先だと思います。
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