任意後見によくある誤解
先日も、一人暮らしの60代の女性が任意後見契約を具体的に検討されていて、相談を受けました。葬儀屋さんから、「死亡届を病院長などに出してもらったら、骨と埋葬許可書を渡す人がおらず困ったことになる」と言われたそうで、こんなことならせっかく任意後見契約をしても意味がないじゃないか、とやり場のない怒りを抱えておられました。ちなみに、改正戸籍法では、任意後見人は死亡届出権者ですが、任意後見受任者(まだ発効していない段階)は該当しません。葬儀屋さんの心配も無理はなく、原則死亡届の届出者に対して埋葬許可書を交付するので、理屈でいけば病院長に焼骨と埋葬許可書を渡すことになるわけですが、後から親族が出てきてクレームに繋がる心配があるようです。それに、病院長も納骨まではやってくれないでしょうし。
しかし、少なくとも大阪市内の斎場では、「死後事務委任契約書」でご本人から「納骨」の委任を受けていることを明らかにすれば、お骨と埋葬許可書を渡してくれます。「心配いりませんよ」と相談者に申し上げました。
また、よくある誤解をされていて、任意後見契約を締結したら、そこからすぐに毎月の基本報酬を払わなければならないと思っておられました。その点があって、いつ任意後見契約を結ぶのが丁度いいか思案されていたのです。任意後見の報酬は、認知症などになって、任意後見監督人が選任されてから発生すること、但しそれまでにご本人の様子を確認させていただくために、たまにお目にかかったりする「見守り期間」を設けさせていただいて、その報酬が年間数万円かかります、と説明しました。経費削減のために、見守りは要らないと思うんだが、ということも仰っていましたが、それでは契約後没交渉となってしまい、任意後見契約を発効するタイミングを見計らうこともできないし、信頼関係を作って行くこともできないので、わたしだったら見守り契約の付随しない任意後見契約は結べません、と言うと、ご理解くださったようです。
26日の「任意後見説明会」をご案内し、「まだまだご健康で時間があるので、相性の良い人を見つけてください」と申し上げました。なかなか人を見る目が無くって、と嘆いておられましたが、結局こういうのは最後は直観に頼らなくてはならないのでしょうかね?