見守り中
将来判断能力が衰えた時に備えて契約するのが「任意後見契約」ですから、契約締結しても実際に任意後見人として執務するまでにかなりの期間があります。その間を「見守り期間(見守り契約)」として、3か月に一回とか1年に一回面談し、合間で電話連絡をしながら、依頼者の様子を把握しつつお互いに理解を深めていく、ということはこれまでも何度か書いたとおりです。
見守り中のDさん宅へ3か月ぶりに伺いました。契約から1年強経って、段々と食べ物の好みや、人付き合いの仕方、どんなことに関心が高いかなどが分かって来たなぁと思っていたところです。今日は、かつて体調不良だった時にどんなに精神的に追い詰められて苦しんだかという話を初めてお聞きしました。辛かったことほど、簡単に人には話せないものです。いくら一応の信頼を置いていただいて任意後見契約したとは言っても、すぐにはお話にはなれなかったのでしょう。人間関係を作っていくにはやはり一定の時間というものが必要だと感じましたし、こうやって繋がりが醸成されていくところに、任意後見契約の妙味があるとまたまた再確認。
「お年寄りが本当に任意後見契約を理解しているかどうかが判らない」という理由で、任意後見契約に消極的な同業者もいます。しかし、理解を得るのはどれだけ分かりやすく説明したか、具体的に、言ってみれば露骨に説明したかに尽きると思っています。まぁそれでも、都合のいいように聞き取ってしまわれる場合がないとは言い切れませんが。でも、わたしは任意後見積極派です。懇意で近い親族がいらっしゃらない方は、前向きに検討される価値があると思っています。
これも親しくなった効果か、会った途端「こんなん言うたら悪いけど、先生肥えはりました?」と言われちゃいました
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