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2007年7月

親のものは自分のもの?

 もちろんそんなわけありません。財産は基本的に個人一人一人に帰属しているので、親が死んで相続が開始すれば自分のものになるにしても、親の生存中は子には何ら権利はないのです。

 高齢者虐待防止法が施行されて1年以上を経過しますが、高齢の親の預貯金やお金を自分のために勝手に使うことが、高齢者虐待に該当することは、まだあまり浸透していないようです。何の罪悪感もなく、親のお金を生活費の足しにしたり特別な出費に当てたりするケースは散見されます。もちろん、親自身の判断能力がしっかりしていて、自らの意思で贈与したものであれば何ら問題はないのですが。

 高齢者虐待に詳しい弁護士の話で印象に残ったことが、虐待をしている家族自身が精神的、身体的あるいは経済的に追い詰められていることが多いので、その問題も視野に入れなければ真の解決は導けないということです。現に、高齢者虐待防止法の正式名称は「高齢者の虐待防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」です。

バッテリー

 昨日甲子園三塁側で阪神を応援していたら、ヤクルト先発ピッチャーのご尊父が前々列におられ、少しお話ししたりして(「今日は完投ペースやなぁ、やられたなぁ」「いやぁ息子は100球までやから」という感じ)、負けたにも関わらず楽しい観戦となりました。ちょうど先週から「バッテリー」を読んでいるので、少しだぶりました。

 「バッテリー」は秀逸な小説だと思います。作者は女性なのに、つまりプレーヤーではないだろうに、どうしてこんなに野球のことを知ってるんだろ?と不思議です。野球が好きな大人の男性の感想を聞きたいところです。主人公の巧と豪が大人び過ぎているけど、自分の13歳当時を振り返ると、これくらいの精神レベルのつもりでいたような気もします。感動しながら読んでいる、久しぶりの本です。

補助人による取消権行使

 知的障害を持つ方に、お母さんが補助人となっています。民法13条1項3号の「不動産その他重要な財産(金5万円以上)に関する権利の得喪を目的とする行為」について同意権が付いています。最近、ご本人は友達に勧められて、何件もの携帯電話の契約をしてしまいました。多額の請求が来たのに驚いたお母さんが、補助人として、同意権の裏返しである取消権を行使する旨を、各携帯電話会社に通知しました。

 ある会社からはすぐに電話がかかって来て「事情は分りました。もうご請求はしません」とのことだったらしいのですが、別の会社からは、約1か月を経過した後、「付与されている同意権では携帯電話の契約は取り消せないので、従来通り請求させていただきます」と書面が送付されてきました。

 相談に来られたお母さんには、見解の相違だから、すぐに支払ったりせずに様子を見るようにアドバイスしました。正直言って、この点をはっきりさせるには裁判しかないのではないかと感じています。このような壁にぶち当たると、何のために補助の申立てをしたのやら・・・・とお母さんとしては空しい思いを抱かれるようです。この二つの同業他社の姿勢の違い、何から生ずるんでしょうね?

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