親のものは自分のもの?
もちろんそんなわけありません。財産は基本的に個人一人一人に帰属しているので、親が死んで相続が開始すれば自分のものになるにしても、親の生存中は子には何ら権利はないのです。
高齢者虐待防止法が施行されて1年以上を経過しますが、高齢の親の預貯金やお金を自分のために勝手に使うことが、高齢者虐待に該当することは、まだあまり浸透していないようです。何の罪悪感もなく、親のお金を生活費の足しにしたり特別な出費に当てたりするケースは散見されます。もちろん、親自身の判断能力がしっかりしていて、自らの意思で贈与したものであれば何ら問題はないのですが。
高齢者虐待に詳しい弁護士の話で印象に残ったことが、虐待をしている家族自身が精神的、身体的あるいは経済的に追い詰められていることが多いので、その問題も視野に入れなければ真の解決は導けないということです。現に、高齢者虐待防止法の正式名称は「高齢者の虐待防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」です。