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保佐人の代理権

 成年後見の法定後見には、「後見」「保佐」「補助」の3種類があって、障害の程度によって使い分けます。判断能力の衰えの程度が重いほうから「後見」です。「保佐人」には民法13条に定めている「同意権(取消権)」がもれなく付いていて、それ以外にも「同意権」や「代理権」が必要な場合には、家庭裁判所に別途申し立てて付与してもらわなくてはなりません。

 昨年末からTさんの保佐人をしており、もれなく付いてくる同意権以外に、「金融機関との取引」などの代理権が付けられています。が、この度Tさんが住所移転されたので市役所でその手続をしようと思ったら、おっと登記事項証明書を見ると「行政機関への届出」といった内容の代理権がないではありませんか!ということは、保佐人として代わりに市役所での手続ができないという事。Tさんは高齢で外出もままならず、市役所に出かけて行くことは現実には無理なのに・・・というわけで、家裁とも相談して、保佐人は関係なく、単純にTさんから住所移転の手続きについての委任をもらい、市役所ではわたしが手続しました。

 こんなことが起こってしまうので、「保佐」や「補助」の申立をする際には、どのような「同意権」「代理権」を追加で付けるかよく吟味が必要です。もちろん、後から追加することもできますけれど、手続はそれなりにかかりますので、分かっていれば最初から付けておきたいものです。

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