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2007年4月

「裁判官の爆笑お言葉集」

 先日、仲の良い弁護士事務所の事務局長と食事の帰りの電車の中、「今こんな本読んでんねん」と標記の新書を取り出すと、「わたしもです」と彼女も同じ本を出してくるではないですか。その事務所では他の職員も読んでいたとか。周囲でミニブームです。もっとも、本屋で平積みになっていたから目についたわけで、世間でもブームなのでしょう。著者は7回の司法試験挑戦の後、現在ライター業だそうで、わたしの本は既に第五刷!良い生業を見つけられましたよね。

 タイトルと内容には少し齟齬があって、割と真面目な中身です。126ページなど涙を禁じえません。裁判官という職業にその生きざまをぶつられるって、遣り甲斐あるでしょうね。羨ましい気がします。もちろん影響力が大きい分、責任重大、過酷なことも多いようですが。

またもや、後見悪用

 インターネットニュースに、再び後見制度を悪用して財産の搾取を謀った者が逮捕された記事が掲載されています。

 http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20070426k0000m040161000c.html

 毎日新聞は成年後見制度に非常に関心が高いようで、心強いです。ただ、警鐘を鳴らすばかりでなく、制度利用が奏功したケースも取り上げてくれればと思いますが。

消費者団体訴訟制度をご存知ですか?

 2007年6月7日施行予定の改正消費者契約法に、新たに盛り込まれた制度です。業者の不当な行為(例えば、絶対に儲かるといわれて金融商品を購入した、など)によって被害を受けた消費者は、消費者契約法によりその業者に対して個々に契約の取消しを求めたり損害賠償を請求したりすることは、以前からできました。ですが、その被害を訴えた消費者個人は救済されても、同じ業者から被害を受けたほかの消費者にはその効果は及ばず、同じ被害に遭う消費者が増えることを防ぐことができませんでした。

 この制度は、業者の消費者契約法に違反する不当な行為(不当な勧誘行為があった、不当契約条項を使用している)に対し、『適格消費者団体(内閣総理大臣が認定したNPO法人、民法第34条に規定する公益法人)』が、業者の不当な行為の差し止め請求をすることができます。これは不特定多数の消費者の利益のためにするものであり、これにより同じ業者による同種の被害が広がることを防ぐことができます。ただし、すでに被害に遭っている消費者個人がこの差し止め請求をすることはできません。また、被害に遭った消費者個人の損害賠償請求をこの手続の中ですることもできません。ただ、すでに被害に遭ってしまった消費者も、業者と交渉・裁判をする上で、差し止め請求の判決を援用する等メリットはあると思います。

花見日和

 近所の桜が満開です。今日は一昨日からの冷気も少しマシで、絶好の花見日和だったのではないでしょうか?

 任意後見人をしている女性が、今週は老人ホームからお花見に行っているはず。寒くなかったか、楽しかったか、気になるのは、子どもの遠足を気に掛けるお母さんのようかもしれませんね。時折考え込んで悩みが増えてしまう方なので、ホームのお仲間と楽しく過ごすことが気分転換になるだろうと期待しています。

 自分自身の花見は、駅までの道と電車の車窓からだけ・・・大きなシートを敷いて花吹雪の下酔っ払いたいものですが。

鯖落ち?

 以前に書いたことがあるのですが、会社設立時の定款認証を紙で行えば4万円の収入印紙が必要ですが、電子認証で行えば印紙税法の対象とならず、4万円が浮きます。そして、この4月から、その定款電子認証は法務省のオンラインシステムを利用して申請することになっていたのですが、何とアクセスが集中してサーバーがダウンしたとかで、法務省オンラインシステムにログインすることすら儘ならない状態となってしまいました。

 この法務省のオンラインシステムは、他にも登記申請などをすることができ、当事務所でも商業登記についてはほとんどオンラインを利用しています。というわけで、4月2、3、4日はオンライン申請もできない状態だったわけです。(今朝のところは若干状況は改善された様子で、一応ログインまではできることを確認済み)お陰で全国の司法書士仲間はうろたえまくって、ネット上で情報交換をしつつ法務省の甘読みを呪い、予定していたオンライン申請を紙申請に切替え、遠方については地元の同業者に頼み込み、という混乱振りです。

 でも、小さな村社会で起こったことのようで、マスコミでは全く伝えられませんね。「鯖落ち」は司法書士サイトに書き込まれていた言葉で、ワンテンポ置いてから「サーバーダウンのことか!」と気づいたのですが、これって既に一般用語なのでしょうか?

保佐人の代理権

 成年後見の法定後見には、「後見」「保佐」「補助」の3種類があって、障害の程度によって使い分けます。判断能力の衰えの程度が重いほうから「後見」です。「保佐人」には民法13条に定めている「同意権(取消権)」がもれなく付いていて、それ以外にも「同意権」や「代理権」が必要な場合には、家庭裁判所に別途申し立てて付与してもらわなくてはなりません。

 昨年末からTさんの保佐人をしており、もれなく付いてくる同意権以外に、「金融機関との取引」などの代理権が付けられています。が、この度Tさんが住所移転されたので市役所でその手続をしようと思ったら、おっと登記事項証明書を見ると「行政機関への届出」といった内容の代理権がないではありませんか!ということは、保佐人として代わりに市役所での手続ができないという事。Tさんは高齢で外出もままならず、市役所に出かけて行くことは現実には無理なのに・・・というわけで、家裁とも相談して、保佐人は関係なく、単純にTさんから住所移転の手続きについての委任をもらい、市役所ではわたしが手続しました。

 こんなことが起こってしまうので、「保佐」や「補助」の申立をする際には、どのような「同意権」「代理権」を追加で付けるかよく吟味が必要です。もちろん、後から追加することもできますけれど、手続はそれなりにかかりますので、分かっていれば最初から付けておきたいものです。

消費者に軍配

 駅前留学で有名な英会話学校の解約規定が違法と判断されました。http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20070403k0000e040054000c.html

 前から、数年分の受講チケットを前払いで購入させるシステムに疑問を持っていたのですが。私たちの仕事もそうですが、前預かりでお金を貰うと、本当の自分のお金と勘違いしてしまって返さなくてはならなくなった時に大変なのです。

 弁護士さん同様、我々司法書士も預かり金用の口座を持たなくてはなりません。ここからお金を借りて、自分の支払に使ったりすると業務上横領ということになります。後で返せば良いというものではないし、だいたいが借りなければならないような場合は返せないものなのでしょう。事件として報道されることがありますね。

 話が逸れましたが、そのように一旦預かったお金は返しにくいもの。英会話学校は返金額をできるだけ少なくするように色々と規定を作っていたようですが、それは「消費者契約法」に違反すると判断されたわけです。規定にあるから、契約書に小さな字で書いてあるから、と諦めてしまわずに、おかしいと思ったら声を上げないと。最高裁まで闘うのは並大抵の気力ではできないとは思いますが。

会社と定款

 決算期を終え、今日から新年度という会社も多いのではないでしょうか?

商業登記のご依頼を受けた際、「会社の定款を見せてください」と言うと、「どこにいったかわからない!?」「そんなんあったっけ??」などというお答えが帰ってくることがままあります。

「定款」とは、会社の目的、組織、業務などに関する基本的なルールのことで、個々の会社において必ず作成されなければならないものです。

確かに、設立時に作成したらその後お目にかかることは少ないかもしれませんが、金融機関からご融資を受ける際などに提出を求められることがあります。また、昨年の会社法の施行に伴い、様々な形態の会社が認められることとなり、それを定めているのが「定款」ということになります。

 特に、初めてご依頼を受けた法人様の場合、謄本と現行定款の御呈示はいただきたいところです。それによって、ご依頼の内容も異なってくる場合があるのです。

 より複雑となった会社法を、それぞれのクライアントの方々に合ったものにしてご提供することが我々専門家の務めであると、あらためて思いました。

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