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2006年10月

村上春樹を読み始めて二十数年

  いつもわたしの心を見透かす物語を作る村上春樹が「カフカ賞」を受賞したらしいです。この賞をとった人がその年のノーベル文学賞を取ったことがあったので、実は今年期待されていたんですがね。

http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/gakugei/news/20061031k0000m040160000c.html

 翻訳されたものが外国の人にどのように読まれているのか不思議な気もするし、やはり普遍的なのだと納得もしています。いつもこの人の小説を読むと、「このまま生きていけばいいんだ」と思えます。

動物の写真集を買う

 施設入所中の任意後見契約をしている女性(現在は任意の財産管理契約執行中)。認知症などはないのですが、内臓の病気のため外出が儘なりません。先日訪問すると「動物園に行きたいなぁ」と仰るので、車椅子を押してくれるヘルパーさんを頼んで天気の好い日に行きましょうか?と誘ってみましたが、車椅子に長時間座っているだけでとても疲れるので現実には諦めているとのこと。体が自分の思うとおりにならないというのは、本当に辛いことなのだろうとつくづく感じます。

 そこで、この方のために動物の写真集を買うことにしました。ベッドに横になっていても眺められるように小さくて軽い本をと探していたら、今をときめく「旭山動物園」の動物たちを写した小振りのものが見つかりました。沖縄の花や熱帯魚の写真集と併せて購入。喜んでくれるかな?と思うと、お渡しするのが楽しみです。

 この女性は「貴方にこんなこと頼むのは筋違いなんやけど」と前置きしながら、腕時計の電池交換と冬用のズボンの購入をお願いできるかな?と仰いました。確かにわたしの仕事は財産管理であり、少し逸脱したご要望です。しかし天涯孤独の身の上の方なので、そのような雑事を気軽に頼める相手がいらっしゃいません。日用品の購入などがこちらの仕事であるとの認識で、「明日までに」などと言われると、こちらとしても対応し切れないと思いますが、契約内容を理解された上で遠慮しながらのご要望なので、できる範囲でお応えすることにしています。このような法律行為以外のことについては、我々受け手によって対応の仕方が違いますし、何が正しいとも言えないでしょう。ただ、任意後見を遂行するには人間関係の構築が何より欠かせないと考えているので、無下に「契約に入っていないから」などと拒絶したくないのです。

 帰り際に施設職員の方から、「契約を結んでから安心されたのか、以前より丸くなられた」と聞きました。正にこれこそが、任意後見契約の効用だと思っています。

こどもの人権

 一年ほど前に日司連の家族法分野研修で「こどもの人権」を受講しました。虐待や遺棄された子供と関わってきた弁護士が講師で、実例に基づく興味深い内容でした。シビアな環境が子供に残す傷とその傷が与える影響のことを考えると、貧弱な想像力では途中で思考停止に陥ってしまいます。講義の中で児童相談所の苦労もそれなりに伝わってきました。昨今責務がうなぎ上りに増大しているのに、その責任に応じられる体制を与えられていないのではないでしょうか?昨日から報道されている長岡京市の子供餓死事件でも児童相談所が槍玉に上げられています。確かにもっと良い対処の方法はあったのかも知れません。

 子供を守るために行政の体制を整えていくのはもちろんとしても、なぜこんなにひどい虐待があちらこちらで発生しているのでしょうか?なぜ親は、大人は、力ない子供相手に本気を出すのでしょうか?こちらの問題の方が深刻な気がします。これも格差社会の産物?この「なぜ」の解明が重要だと思うし、結果を知りたいです。場合によっては、従来の意味以上に言葉通りに「子供は社会全体のもの」としなくてはならないのかも知れません。

相続登記の費用

 先日メールで「相続の登記費用はどのくらいかかりますか?」という質問をいただきました。わたしからの返事は次のとおりです。

  登記費用は大きく分けて、①私どもの報酬と②登録免許税等の実費で構成されています。①は、法務局の管轄や相続人の数、誰がもらうのか、不動産の数などの要因によって変動します。お問合せの不動産が全て大阪府下の一つの管轄にまとまっており、相続人が配偶者と子供数人で、もらう人も一人に限定されていれば、20万円前後で収まるのではと考えます。しかしながら、費用の見積りは具体的な資料を拝見しなければご提示できるものではありませんので、あくまでも目安(10万円以下では済まないし、100万円もかかるものではない)としてお考え下さい。②は、固定資産評価額に税率(1000分の4)を掛けて算出します。

 お問合せのケースでは不動産は複数ありましたが、ご自宅だけであれば報酬は10万円ちょっとで済むかもしれません。あと、報酬額を左右する要素は、相続が何度も発生していないかということです。登記簿は死んだおじいちゃんの名前のままだが、次にお父さんが亡くなって、いよいよ自分の名義にしたいというような場合は、相続関係を証明するにもかなりの手間がかかります。

 戸籍謄本を調査していると、思わぬ相続人が出現した際に、驚かせないように丁寧なお手紙を書いて、相続登記に協力してもらうというような事務が発生することもあります。

母親が代理母

 実母が娘に子宮を貸したという新たな問題提起がありましたね。官房長官が発言したり、新聞社説で論じられたりと代理母について話題沸騰の感があります。今朝ウェブニュースでこのような記事を見つけました。分娩中に意識不明になった妊婦が、受入病院がなかなか見つからず、出産後命を落したというのです。

http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20061017k0000m040150000c.html

 辛いニュースです。こういう問題の方が先決だろうと思ってしまいます。

怪しい者ではありません

訴訟を提起しても、相手方に対して訴状が届かないときがあります。そうなると審理が開始されないので、なんとか訴状を相手方に交付するためにいろいろと手を尽くすわけですが、その中の一つに、相手方の住所の現地調査があります。

相手方の住所地に赴いて、表札があがっているか、電気メーターは回っているかなどを確認し、相手方が正にそこで生活しているという心証を得られるよう調査します。また近所の方に、○○さんという人は住んでいるか、毎日ここに帰ってくるのか、など話を聞いたりもします。相手方の○○は確かにそこに住んでいるということを裁判所に証明するためです。なんだか探偵になったような気分で、相手方の家の周りをうろうろしている訳ですが、ふと近所の人の視線が気になったりするのです・・・

もし現地調査をしてる司法書士を見かけたら、決して怪しい者ではありませんので、通報しないでくださいね。

今が山場!

こんにちは、カケイボです。今年も残り3ヶ月となり、意味もなく焦りを感じています。

そしてこの時期盛り上がっているのがプロ野球。昨日、セ・リーグでは中日ドラゴンズがリーグ制覇を決め、一段落つきました。落合監督の涙には驚きました。試合終了前から泣いていましたね!私の御贔屓チームは・・・無事最下位脱出です。一方パ・リーグはプレイオフ中で、これから日本ハムファイターズと福岡ソフトバンクホークスの日本シリーズ出場権を賭けた闘いが始まります。今年は引退表明をした新庄剛志選手のいるファイターズを応援したいところですが、昨年、一昨年と苦汁をなめたホークスにも日本シリーズに出て欲しいとも思います。リーグ1位のチームはアドバンテージの1勝が既に与えられており、ファイターズ有利のこの状況、世界最高の監督が率いるホークスが如何にねばって闘っていくのかに注目します。

電話不通アクシデント

 事務所にいる間は携帯電話をカバンに入れっぱなしなので、しばらくしてから着信に気づくことが多いのです。着信音もオフにしています。昨日もふと携帯を見ると「着信1件」になっていて、メッセージを聞くと、任意後見契約を結んでいただいている女性から。「事務所に架けたら『この番号は使われておりません』となって驚いて携帯に架けました」とのこと。それを聞いたこちらがビックリで、慌ててご自宅に電話しました。なぜ、電話が繋がらなかったのか、アクシデントの原因は不明ですが、それはともかく(商売をする上で捨て置ける問題でもないのですが)任意後見契約を結んでいる相手の事務所が知らない間に消えてしまったりしたら、ご当人としてはさぞ気を揉まれた事だろうと想像します。

 これが潜在的な任意後見のネックなのです。自分で後見人を選んで希望を予め伝えておいて、と自己決定を最大限実現するはずのシステムが、契約相手がいなくなってしまうとそれまでの準備が水の泡になってしまいます。任意後見受任者が個人の場合、依頼者より先に死亡することにより契約が終了するかも知れません。一方、法人だからと言って万全でもありません。倒産や解散は十分にあり得ることで、その法人が、当分は存続するだろうと信頼できるような土台(経済的、人的)を備えているかよく見極める必要があります。

 リーガルサポート大阪支部では、依頼者と受託する司法書士の年齢差を20歳はあけるという不文律のようなものがあります。しかし、研究熱心な依頼者はその程度のことでは納得されずに、健康診断書を求められたりするようになるかもしれませんね。体に爆弾を抱えている人とは契約したくない、という理由で。司法書士も体の手入れを怠れない、というわけです。

法定後見の本人申立

 家裁へ保佐開始申立に行きました。申立は誰でもできるものではなく、後見の保護が必要とされる方の、配偶者・四親等内の親族或いは本人と民法に規定されています。例外的に市町村長にも申立権があるのですが、これについては、初めは及び腰だった市町村も手慣れて来て積極的な姿勢に変化したところもあれば、未だ他人事のような態勢のところもあるという現状です。

 「この人に後見制度が必要だ」となった時、まず一番に考えなくてはならないのは、「誰が申立人になるか」という点です。判断能力の衰えの程度が軽い「補助」「保佐」であれば本人による申立でも良いのですが、「後見」となると、「自分で財産管理ができない能力レベルだが、後見開始の申立をする能力はある」ということになり、矛盾している、整合性に欠ける、と見なされるおそれもあるのです。

 というわけで、「後見」の本人申立はドキドキものになります。「申立する能力」と「財産管理能力」は同じではない、とはっきり言い切ってくれる家裁調査官もいれば、非常に慎重な考え方をする調査官もいるようですので、当たり外れの部分もあります。(これは普通の裁判でもあることでいちいち嘆くようなことでもなく、相手の考え方を知り、こちらの主張を理解してもらうために最善を尽くすしかありません)ただ、「後見」か「保佐」かどちらを適用するのが妥当か判断が微妙な場合は、本人申立の矛盾を指摘されるリスクを避け、「保佐」で進めることが多いです。もちろん、親族に申立に協力してくれる人がいれば何ら問題はありません。

 家裁における本人調査は約30分。お年寄りにはなかなか重労働です。この点もう少し負担が軽くならないか、といつも思います。集中力もなくなってしまいます。まぁその様子も調査の対象なのかもしれませんね。 

ぶらりひとり旅

先月は、日帰り出張がつづき、ちょっとした「ひとり旅気分」でした。

先日は、初めて西向きの新幹線に乗って山口に行ってきました。出張とはいっても、私たちの場合ほとんどが、現地法務局に赴いて、書類を提出する、または、回収するだけなので仕事自体はすぐ終わります。というわけで、少しだけ時間をいただいて「ぶらりひとり旅」というわけです。

あまり、時間もなかったので、どこかひとつに絞ろうと思い訪れたのが「雪舟庭」でした。雪舟!?なんか、昔教科書で見た雪舟さんが設計したお庭です。お庭を眺めながらお抹茶をいただいていると、お茶屋の方と話がはずんで、すぐそばの萩焼の窯元へ連れて行ってもらうことに。記念に萩焼のお茶碗とお菓子鉢を購入してしまいました。

たまには、一人で見知らぬ土地を訪れるのもいいものです。

借り腹認められる

 夫婦の受精卵を他の女性の子宮に着床させて生まれた子を、夫婦のことして出生届を受理するよう命令する決定がされたそうです。

 http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20060930dde001040029000c.html

 理由は「子の福祉にかなう」というもの。それはもちろん理解するが、どこまでの生殖技術を認めるのか?議論が足りないように思う。昨日は腎臓が売買された事件も報道された。どこまで生命コントロールを受け入れるのか。技術の進歩は際限がないだろう。今に優秀な精子を高値で競るなんていうブラックジョークが現実になるかもしれない。それを、人類の夢が実現した!というのだろうか?私には滅亡への道をまっしぐらにしか見えないのだが。

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